内観ワークショップを受けて M.H. 男性 千葉県

内観ワークショップの参加者さんが体験談を書いてくれましたので、ご紹介します。

内観ワークショップを受けたいと思った理由

自分は、フルタイムの仕事の傍ら、平日の夜や休日にトライアスロンの審判や大会運営、町内会、地域おこしなどのボランティア活動をしています。

今の仕事に不満は無いんだけど、今やっているボランティア活動の割合を多くしたいと思っています。どちらかというとボランティア活動に充てる時間が増えた方が、自分が望んでいる社会の実現に協力できるからです。

だけど、今はサラリーマンの給料で生計立てているわけだし、ボランティア活動だけでは食っていけない。このジレンマを抱えた状態を何とかしたくて、今の自分を転換させるヒントが得られればと思い、内観ワークショップに申し込みました。

内観ワークショップの内容について

11月26日(月)~28日(水)の3日間、受講者3名がビヨンドに集まって、ヤスさんのアドバイスを受けながら、それぞれが自分の心の中と向き合いました。大まかなスケジュールは以下の通りです。

初日:「やりたいこと」と「心に引っかかること」書き出して内観する。
二日目:ヤスさんからの瞑想指南。引き続き内観する。
三日目:引き続き内観。理想の4コマ目を描き、そこに向かう自分になれるかを発表。

3日間で実際に内観していた時間は半分ぐらいでしょうか。後はヤスさんの話を聞いたり、参加者みんなで話し合ったりして、マイペースで内観してのんびりゆったり過ごしました。

ヤスさんと参加者の二人から色んな気づきをいただいたことと、自分の中の気になることが思わぬ展開を生み、三日目の最後の最後になって、自分も予想できなかった結論に至ることができました。

以下、3日間の自分の感じたことを中心に書いていきます。

初日の気づき:やりたいことって実はすごくシンプル!

ヤスさんからの最初のお題は「なりたい自分、やりたいこと」と「心に引っかかること」をノートに書き出すこと。実は、日頃から考えていることなので、制限時間20分の間にA5のノート4ページに文字がびっしり。

「ああ~、自分はやりたいことも、心に引っかかることも多過ぎだな~。やっぱり自分は欲張りなのかも。」と思いつつ、参加者みんなで書いたことを見せ合いました。

参加者の一人、G君のメモを見て目からウロコ。G君のやりたいことってすごく少なくて(2~3個?)、内容もすごくシンプル。でも、シンプルだからこそ観念的な言葉が入ってなくて(=左脳じゃなくて右脳が動いている)、本当にやりたいんだってことが他人の腹落ちするんです。

ヤスさんが「G君のやりたいことって、要は『女性にモテたい』ってこと?」…一同爆笑。

一方、自分の「やりたいこと」はというと、「やるべきこと、やらなきゃいけないこと」のオンパレード。例えば「田舎で生活してても幸せだと思える人を増やしたい。」とか書いてます。明らかに左脳で考えてますよね。(^-^;)

確かに「やりたい」のかもしれないけど「やった方が世の中的に良いことだからやりたい」という「条件付きのやりたい」なんですよね~。

実は自分でも薄々気づいていたんだけど、G君のシンプルな「やりたいこと」を目の当たりにして、「やりたいこと」=「好きなこと」=「シンプルに表現できること」だってことがようやく実感できたんです。

複数の参加者と一緒にワークショップするから、自分とは違う価値観が入ってきて気づきを得てられる、そしてその価値観を受け入れられる、という体験は新鮮でした。自分一人で内観していたら自分の枠から出られなかったと思います

二日目の気づき:自分の好きなことは正直に『好き!』って言っていいんだ

二日目の午前中はヤスの瞑想指南。天気は快晴、脱穀作業中のビヨンドの田んぼを眼下に眺める場所での屋外瞑想指南。遠くには南アルプス、頭上には紅葉の木々、この場にいるだけで心が癒やされました。

ヤスさん的な瞑想の極意は、左脳の動きを止めること。左脳を止めて瞑想していると答えが降りてくるそうです。電車の中で寝ていて目的地に近づいたら目が覚めるような状態と瞑想は似ている、なので電車で寝られる人は瞑想もできるとのこと。

瞑想指南を受け、午後は瞑想しながら内観を続けましたが、たぶん半分ぐらいは寝てました。(笑)

あと、ヤスさんの講義の中で、自分の将来を4コマ漫画に例える話が印象的でした。「自分のやりたいことを4コマ漫画の4コマ目に書いても、実はそれって3コマ目の延長の3.5コマ目だったりすることが多い。本当の4コマ目は3コマ目の延長じゃないし連続していなくたっていい。3コマ目から4コマ目へ飛ぶ根拠も脈絡も無くたっていい。」というもの。

ヤス注)以下の記事を参照ください。答えは外でなく内側にある
他の体験談も紹介されています。

このアドバイスを受け、昨日まで書いた色んな「やりたいこと」の中から本当の4コマ目を探しました。

たぶん、本当にやりたいことって「普段からついつい考えてしまうこと」「ついついやってしまうこと」だったりすると思い、自分がついついしてしまうことを探しました。

自分は、地図、地理、地域というキーワード関わるものが好きで、一度通った場所や道路を地図で眺め返さないと気が済まないタイプ。また、省エネとか自然エネルギーをできるだけ使いたいタイプ。(なので3日間ずっと調理ストーブを喜んで焚いてました。)おそらくここから自分の「やりたいこと」が見つかるはず。

ここで二日目は時間切れ。終わってから、もう一人の受講者の川上さんと温泉に入りに行き、戻ってきて夕食を作りました。(川上さんが調理係、自分が調理ストーブの火起こし係。)温泉の中でも夕食の時もずっと川上さんと話をしていました。

ちなみに川上さんは四国の愛媛県出身で千葉の館山に移住を計画している方で、このプロフィールが自分にとって話したいツボが満載。というのも、自分は館山市のトライアスロン大会や館山地区の自転車イベントの運営をずっと手伝ってて気づいたら館山が大好きになり、さらにここ数年は愛媛県内のトライアスロン大会の審判協力に出かけていて四国も大好きになったんです。

なので、川上さんは、自分の好きなことを全開に話せる絶好の存在。例えば、四国と房総半島の古代からの繋がりについて、自分のロマンチックな想像も交え熱っぽく語ってしまいました。(これ以外にも自分の「好き過ぎるポイント」をいくつか語りました。)

そしたら川上さんはとても聞き上手で、自分の話を興味深く聞いてくれるだけでなく、自分の話を聞いて気づいたことや考えたことも話してくれるので、話題がどんどん展開してとても楽しい時間を過ごすことができました。

どちらかというと自分は人前ではあまり話さないタイプ。しゃべりたいことがあってもみんなの話を聞く方に回り、タイミングがあれば話すというのが長らくの習慣になっていたんです。ところが「自分の話したことが川上さんの気づきになっている」という実感を得られたことで、「自分の好きなことをもう少し人に話してもいいのかも」という気持ちが少し芽生えてきました。

さらに、川上さんのこの一言が大きな気づきになりました。「心の底から好きなことを話している人を見ているとこちらまで嬉しくなってくる。」(という内容だったはず。)

自分は子供の頃から自己肯定感が低く、「人前で自分の好きなこと話してても相手は退屈だろうな」という心理が働いて、自分が好きで楽しいこともあまり楽しそうに話さないことが多かったんですけど、川上さんの一言で「自分の好きなことは素直に出してもいいんだ。ていうか出した方がいいんだ。」ということに気づくことができたんです。

初日も二日目も受講者から大きな気づきが得られる。まさに受講者に恵まれた内観ワーキングでした。

三日目 自分の心のブレーキを外す

朝から自分の好きなことを思い浮かべながら、理想の4コマ目を考えていたんだけど、うまくまとまりませんでした。「内観ワークショップもこのまま終わるのかな〜。」と思い始めた昼前の振り返りの中で、自分が気になることとして「妻の家事のクオリティの低さ」を話したら、事態が大きく転換しました。

妻は家事全般が全くダメなタイプで、炊事/洗濯/掃除のどれも手際が悪いし、片付けもできない。先月までの一年間はパートに出ていたんだけど、それ以外の二十数年間は専業主婦。専業主婦なんだ
から家事をする時間もありそうだけど、時間管理も家計管理もやる気なし。

「妻の家事のクオリティの低さに自分も被害を受けている。我が家がうまく回らないのは妻のせいだ」と言わんばかりの自分の愚痴にヤスさんの鋭い一言。

「ふっふっふっ、奥さんができていないことが気になるというのであれば、それは自分にもできていない部分があり、それを嫌だと思っているということだね。」

この言葉はまさに図星!確かに自分も手際が良いとは言えないし、片付けも苦手、時間も家計の管理も適当。自分がうまく出来ないから、自分よりももっと出来ていない妻に対して腹を立てているだけのこと。

さらにヤスさんはこう続けました。「満ちゃんはアクセルと同時にブレーキを踏んでいるんですね~。その状態だといつまで経っても理想の4コマ目は現れないんですよ。」

妻をサポートするため、自分も家事を手伝い、我が家の散らかった状態を何とか打開しようと努力しているんだけど、何の努力もしていないように見える妻に腹を立てている自分。ダメな所を改善してほしくて、妻にあれこれ指摘するんだけど、それが逆効果。実は自分でも分かっているはずなんだけど、どうしても直らない。

「ありのままの奥さんを受け入れられることが、ブレーキを外すこと。4コマ目を見るためにクリアしなければいけない課題なんですね~。」とヤスさんは言いました。

午後も内観したけど、妻に対する不満はなかなか消せない。二十数年間の思いはなかなか消せないんですね。ところが、最後の振り返りの中、ヤスさんとのやり取りの中で、自分の考えが一気に変わるヒラメキが突然現れたんです。

一言で言うと、「妻は(良くも悪くも)自分の人生のパートナー。妻を責めるということは自分自身を責めることと同じ。」だということです。
まず、子供の頃から自己肯定感(=自尊感情)が低い自分にとって、自分を大切にすることが大事だと学び、少しずつだけど自尊感情を高めていこうとしている自分にとって、自分を責めるような考え方は絶対にNGだと考えているわけです。

一方で、妻は自分の人生のパートナーだということが、なぜか腑に落ちていることに気づいたんです。「運命の糸に導かれた二人」みたいなロマンチックな関係ではないけれど、妻がパートナーであることは不思議と信じられる。

つまり、「妻は自分の鏡であり、自分の課題に気づかせてくれる存在。妻の気になる所は自分も持っている。自分を大切にすることが大事だと考えているのに、妻を大切にしないのはとても変だ!」ということに気づいたんです。

ちょっと誤解を生みそうなんですが、この気づきというのは「自分の自尊感情を改善することを目的に妻を受け入れる」という利己的な心境ではないんです。確かにそういう面もあるかもしれないけど、「日頃から自分の激しい叱責を受けている妻の自尊感情が自分の自尊感情に思えてきて、とってもかわいそうになった」という気持ちの方が強かったのかもしれません。

そうなってくると、これまで自分に冷たい言葉を浴びせられたり、冷たい態度を取られていた妻のことが本当にかわいそうだと思えるようになり、妻がとても愛しい存在に思えてきたんです。

自己啓発書にはよく「まず自分が変わること」と書かれていますが、ようやくその意味が分かった/腹に落ちた/体感できた!と言えるかもしれません。打算的な「変わらなきゃ」ではなく、例えて言うなら「自分が変わらないと居心地が悪い」という心境になれたんです。

最悪の4コマ目を受け入れる覚悟ができた!

妻を大切することについては納得できたんだけど、「妻の家事のクオリティの低さに自分はずっと迷惑をかけられてきた」という負の感情はまだ残っていました。

「妻は家の中の換気するのが好きで、朝起きたら窓を開けないと気が済まないタイプ。でも、窓をいつも閉め忘れるので冬は寒い思いをしている。こういう癖っていつまで経っても治らないんですよね〜。」

と愚痴をこぼしたら、ヤスさんから的確なアドバイスが返ってきました。
「窓を開けた人が必ず閉めなければいけないというルールはどこにも無い。そんなルールがあるんだったら、『私の作った料理は(その人が食べなきゃならなくなり、他の)
誰も食べちゃだめ!』と言われててもいいってことになるよ。」

このヤスさんの一言に納得。「確かに窓を閉め忘れる妻なんだけど、妻が毎日窓を開けてくれるおかげで、我が家は臭いがこもらないとも言える。自分が妻よりも窓を閉めることに敏感なのは、妻が開けた窓を閉めるのが自分の役割だからなのかも。」と感じることができました

そして、ヤスさんの最後の質問。「現実を変えるには覚悟が必要です。例えば、家の中が激しく散らかった状態で、奥さんをニッコリ微笑んでハグしている所を想像できますか?」

これには二つ返事で「できます!」と答えました。「家事崩壊状態の中、微笑んで妻をハグしている姿がカッコいい!そんな状況下でも妻がLOVEだなんてステキ!」と瞬時に思えたからです。自分に酔っていたわけじゃないけど、そんな風景を想像する方がしっくり思えたからです。

結局「理想の4コマ」は描けず、「最悪の4コマを想像して一人ニンマリ微笑む」という予想外の展開に終わりましたが(笑)、思わぬ形で自分の心のブレーキが外れるきっかけをつかむことができました

#内観ワークショップから一ヶ月が経って
ワークショップから帰宅して、照れくさかったけど妻に自分の気づきを伝えました。妻は「ふーん、ありがとう。」的な反応。まあ自分たち夫婦はいつもそんな関係ですね。でも、妻が本当に愛しい存在だと思えるようになり、今でも毎日のようにハグしていますよ~。一方で(ワークショップ熱が冷めて?)時々喧嘩もしたります。(^-^;)

正直な所、自分の態度も妻の態度も、そして家の中も、見た目はあまり変わっていないかもしれないですね。一気に状態が変わることはないけど、それでもいい。少しずつ変わっていけばいいと思っています。心の中は以前より穏やかになったかもしれませんね。

そして、自分の心により正直になりました。以前だったら相手に嫌われるのを恐れて会社やボランティア関係で、仕事面の注意をあまりしてこなかったのですが、あまり遠慮なく指摘するようになりました。言いたいこと言うとスッキリしますね。

また、自分の無理の無い範囲で仕事をするようになりました。特にボランティア関係の仕事は、多少間に合わなくてもいい、仕事の品質が落ちてもいい、と割り切ることができるようになりました。夜遅くまで資料作ったりせず、自分をより大事にするようになりました。

ついつい自分が想像してしまう、館山や四国や実家の富山で田舎暮らし」とか「里山の木々からできた薪を燃やしてエコロジーな生活」イメージを楽しむようになりました。イメージを楽しんでいれば、いつかは理想の4コマ目が突然現れるかもしれない。ただ、理想の4コマ目を過度に期待しないで、一日一日に感謝し、穏やかに日々を過ごしていきたい。そうすれば自然に4コマ目が現れるだろう、思いながら日々過ごしています。

ヤスさんとワークショップ受講者のお二人に感謝いたします。素敵な気づきをありがとうございました。
そして一緒に暮らしている妻と子供達に感謝いたします。いつもありがとう。