子供が手がかかるのではない 親が子供を手がかかるように育てているのだ

「何かお手伝いをさせてください。」
そう言って小さい男の子(裕太、三歳)を連れた女性(恵子)がソラディスの元を訪れた。

「絵本読んで!」「ママ~、抱っこ!」

恵子が作業していると、裕太がちょくちょく呼んでくる。
作業中だからといっても聞いてくれないので、なかなか作業がはかどらない。

「こんな小さな子供を連れてきちゃって、私、役に立てているんだろうか?」

恵子がそんなことを考えていると、裕太の大きな泣き声が聞こえてきた。

「ママ~、ママ~!!」

「あーもう、また!」

恵子はいつも呼んでばかりくる裕太にイライラしてきた。

「子供を連れてきちゃうと、作業を進めるのって難しいですね、、、」

ソラディスは答えた。

「仕事と子育て、この両立が難しいと思う人はすごく多いみたいですね。保育園にでも預けないと仕事をすることはできない。そんなふうに思ってる人は多いんじゃないでしょうか?」

「でも、自分の子供は自分以外の人が育てなきゃいけないなんていうのは逆におかしいと思いませんか?」

「子供達は横で遊んでいて親たちは近くで仕事をしている、、そんなのもありだと思いませんか?」

「子供を連れていることがデメリットなんかにならないということを、示してあげることができたとしたらすごく面白くないですか?」

そう言うとソラディスはニヤッと笑った。

「さっき子供が転んで泣いていましたね。あれから調子を崩してそれからずっとぐずっています。これはしょうがないことだと思いますか?避けがたいことなんでしょうか?」

「・・・・・」

「”子供は手がかかる。だから仕事との両立はできない。”多くの人はそう考えるようですね。でも実はそれ、ちょっと違うんですよね。」

「子供が手がかかるのではなくて、子供が手がかかるように親が育てているんですよね。わかりますか?」

「接し方を変えれば、転んでもにっこりしたり、むしろ喜んだりしてくれるようになったりしますよ」

「そんなバカな、、、、」と思いつつ恵子は作業をしていると、またまた
裕太が泣き叫び始めた。

走っている最中につまずいて転んだらしい。

「ママ、ママ~!!」

調子を崩している上にさらに転んだので、泣き声はかなり強くなっていた。

「ああ、まただ!」恵子は悲しくなった。

しかし、ソラディスは裕太の元に近づき何やら話し始めると、驚いたことに裕太はすぐに泣き止んだ。

「え、なんで?!」

不思議に思った恵子は少し遠いところから様子を見ていた。

ソラディスは裕太に転ぶ原因を教え、次から転ばないためのアドバイスをしていた。
そして裕太は、泣き止んだだけでなく転ぶ原因が分かり、その対処法を学ぶことができて喜んでいたのだ!

裕太は近くにいる恵子に気づくとこう言った。

「ママ、段差は危ないんだよ。気をつけてね!」

そこには転んだからといって残念だと思う表情は微塵も感じられなく、むしろ学べたことをママや他の人達に伝えたいというようなキラキラした顔つきであった。

「ほらね。言ったとおりでしょう?」
そう言うと、ソラディスは嬉しそうにすたすたと歩いて行った。