「サメオに会いたい、僕の親友なんだ!なんで会ってはいけないんだ!親って勝手だ!!」
親から止められてはいたものの、トラキチはいつもの公園に行ってみた。
サメオの姿はない、、、、。
親にバレないように、毎日毎日、公園に行った。
するとある日、サメオもコソコソっと公園に来たではないか。
だが、サメオの様子がおかしい。
トラキチと目が合うと、まずいものを見てしまったという表情だ。
そそくさと帰ろうとするサメオを呼び止め、トラキチは聞いた。
トラキチ 「サメオも親から俺に会うなと言われたのか?」
サメオ 「・・・・・・・・」
トラキチ 「いつまでも仲間だ。そう誓ったじゃないか!」
サメオ 「!! ・・・・ゴ、ゴメン!」
そう言うとサメオは走り去っていってしまった。
トラキチはなぜサメオと会ってはいけないのかの説明を父に求めた。
言いたがらない父に必死に頼み込むと、父はようやく話しだした。
トラジロウとサメオの父が対立するギャング団のトップで、自分のチームのメンバーがサメオの父の弟をやりすぎて殺してしまったことを。そして、元はといえば、サメオの父のチームの方が先に手を出したんだなどと、、、。
トラジロウ 「いいか、奴らのやったことは許されるべきではないんだ。サメオ君も鮫村の子供ってことは、シャーク団の一味なんだ!」
やりきれない気持ちのまま、トラキチは部屋に戻った。
その後も何度かサメオと出くわすことはあったが、いつも避けられているうちに段々と腹が立ってきた。
「ふん、どうせあいつもオレのことチーム タイガーの一味だなんて言っているんだろう!」
トラキチの態度は変わり、サメオの態度も変わった。
出会った時は申し訳なさそうにその場を去っていったサメオも、「ふん!」という表情で去っていくようになったのだ、、、。
そして、お互いに仲間をつくり、しだいに対立が始まっていった。
それから数年経ったある日、サメオは部屋を片付けているとトラキチとの宣言書を見つけた。
サメオの目は宣言書に釘付けとなり、あの時の記憶が鮮明に蘇った。
「あの時、二人の気持ちに嘘はなかった。だからいつまでも仲間でいよう!と強く誓ったんだ、、、、」
「何でこんな風になってしまったんだ、、、、」、
サメオの心は強く揺れ動かされた。
「親が勝手に仲たがいをさせただけじゃないか!本当は仲が良かったんだぞ!シャーク団もチーム タイガーも、そんなの知らなかったんだぞ!」
今更トラキチと仲良しに戻ることが出来るかはわからないが、この気持をトラキチに話さずにはいれなくなった。
サメオはトラキチに2人で会いたいと伝えた。
トラキチは罠か何か騙しているのかと勘ぐったが、「宣言書を見つけたんだ!あの時の気持ちを思い出したんだ!」とサメオが熱心に話すのを聞き、取り敢えず会うことにした。
初めはぎこちなかった2人だが、最後には抱き合いながら、仲直りをすることが出来た。
トラキチ 「恨みを忘れるな!Remember ○○!とか言うけど、あんなの憎しみを増すだけだな。」
サメオ 「あぁ、そうだな。よく考えると、一人を傷つけるだけで、全員が喧嘩をし始めることがあり得るということだな。傷つけられた人が報復、またはその仲の良い人が報復、するとまた新たに人が傷付けられる。するとまた報復が始まって、、、、」
トラキチ 「たった一人で全員か、、、凄いことだな。誰かが許さない限り止まらないんだな。うちの親もそろそろ許せるかなぁ?」
サメオ 「あぁ、うちの親も許せるといいな。」