イブの住む星では、絶えず考え方の相違や資源の奪い合いなどが原因となり争いが耐えなかった。
イブは争いとはなぜ起こるのだろう?と考えていた。
街では清潔さんチームと自然が一番チームが争っている。
清潔さんチームは「土は不潔だ、バイキンがいるから消毒しよう」
自然チームは「消毒なんかしたら生態系が崩れる!清潔さんチームはわかっていない!」
と、それぞれ意見が対立しているようだ。
ある日、イブのもとに清潔さんチームが訪れた。
「あなたなら私達の言うことがわかるでしょう。自然チームに土を消毒するように言ったくださいよ」
押しかけてきた何十人もの人達は、いかに“土が不潔か”、“自然チームのやり方が間違っているか”をガンガンまくし立てる。
イブがなぜそのような活動をするようになったのですかと聞くと、皆、切実そうに現状を語り出した。
「うちの子どもはバイキンに感染してひどいことになったんですよ!」
「うちの畑では野菜が菌にやられて全滅したんだ!こんなんでは食ってはいけない」
イブは静かに耳を傾けていたが、皆、共通して幸せになりたいんだな。ただ、困った状況にいる家族たちを救いたいんだなと思った。
イブは嬉しかった。
自然チームがいかに間違っているかなどをまくし立てている間は正直共感できなかったが、「幸せになりたいんです!」という表現の一つだということに気がついたのだ。
イブは自然チームに多くの友だちがいる。そのことは清潔チームも知っている。
清潔チームはイブがうんうん頷いて聞いてくれたので、イブは自然チームの人に清潔になるように説得してくれると期待しているようだ。
イブはただこう答えた。
「皆さんの言うことはよくわかりました。自然チームに沢山友人がいるので彼らの話も聞いてみようと思います。」
自然チームのメンバーである友達に会い、自分が清潔チームの人達と話したよと伝えると、「え?あんな奴らとなんで?」という反応。彼らは清潔チームのことはあまり良く思っていないようだ。
イブはメンバーたちになぜ自然チームの活動をしているのか尋ねた。
メンバーは土や自然の素晴らしさを熱心に語った。そしてそれを守るためにも清潔チームに悔い改めてもらう必要があるんだ!と。
「なぜ、自然を守る必要があると思っているんだ?」とイブが聞くと
「あたりまえだろ!自然がなかったら俺らは生きていけない!そうなったら清潔チームの人達も生きていけなくなるぜ。」
イブは言った。
「じゃあ、皆が幸せになりたいからってことだね^^ 素晴らしい活動じゃないか。」
メンバー「さすがイブ、わかってくれたか。じゃあ、清潔チームにも自然を破壊するようなことはやめろと言ってくれるんだな?」
イブ「いや、そんなことは言わないよ。彼らには素晴らしい活動をしていますねって言うつもりだ。」
メンバーは憤慨した。
「へ?さっき俺らの活動が素晴らしいと言ったじゃないか!」
イブは答えた。
「あぁ、素晴らしいよ。皆が幸せになるように頑張っているんだから。」
一呼吸置いて続けた。
「でも、それは清潔チームも一緒なんだよ。彼らがどのような経験をしたか知っているか?自分の愛する人がバイキンに感染してひどい目にあったりとか、野菜が菌にやられて全滅したために生計が成り立たなくなってしまったりね、、。」
「だから、皆が幸せになるように一生懸命に考えた結果があのグループだったんだ。君たちと同じだろう?」
メンバーは不満そうな目でイブを見ている。
“全然同じじゃないよ”言いたげだ。
イブは続けた。
「ただ、表現の仕方が違うだけなんだよ!両方のチームとしっかり話をした俺にははっきりとわかる。彼らは悪い人達なんかじゃない。ただ、しあわせになろうと必死なだけなんだ。」
メンバーはただ無言で聞いている。
イブは続けた。
「目標を同じくするチーム同士、話せばきっと分かり合えると思うよ。」
「『菌が悪いのではなく、体調を良くする菌と悪くする菌があるからバランスを取ればいいんですよ。』とか、『無理の無い土壌条件にすれば土壌消毒は必要なくなるんですよ』などと解決策があるのであれば、それを提案してあげたら?一番いいのは、それを自分で見せてあげる事だね。解決できることが理解してもらえたら、その提案に心から感謝してくれると思うよ。」
メンバーの表情が変わってきている。
ポツリポツリと口を開いた。
「そんな、言ってわかるもんかね、、」
「絶対にわかってくれる!俺も行くから一緒に話合ってみないか?」
イブは請け負った。
後日、清潔チームの幹部メンバー2人を呼び、自然メンバーの友達2人とイブの5人で話しあった。
そして、その結果は素晴らしいものとなったのだ!
清潔チームが「メンバーの中には菌にやられて散々な目に遇っている人が本当に多いんですよ」と言うのに対し、自然チームがバランスをとることでその問題を解決した事例がたくさんあることを例示し、もし宜しければ一緒にやってみませんかと誘ったのだ。
対立チームとして見ていたのが、会ってみたら実はお互いに悪い人なんかじゃないということに気づけたようだ。
イブは、最初は間に入っていろいろとお互いを紹介していたりしたが、その必要はもう無いことを感じ、嬉しくなった。
「やっぱり分かり合えたんだ^^」
今では逆に仲良くなって、チーム同士の友達を紹介しあってバーベキューとかやっている。
あの争いはいったい何だったんだろうか?
でも、争いがあったからこそ、『全ては愛だったんだ』と皆が気づくことができたのかもしれないなとイブは思った。
争いを超えた時に、理解は始まり、相手を尊重することができる。
尊重すれば、今まで耳をかせなかった相手の話に素直に耳を傾けることが出来る。
そして、自分が良くないと思っていた相手の行動が実は愛からの行動であったことに気づく、、、
イブはそんな事を思いながら満足そうに家に帰っていった。