02 『”できることをやる”では響かない』

イブは修行僧的なところがあり、強い精神力を身に着けていた。
周りが「暑い暑い、暑くて死にそうだよ~」と言っている時に
「暑さなどは気持ちで克服できるんだ、、寒いと思えば寒いんだ!」
などと心に思うと、体が震えだし、鳥肌まで立ってしまった。
そんな自分を見て満足そうにニヤリとした。

ある時、AさんとBさんが「痩せられなくて、ほんと参っちゃうわよね~」などと話しているのを聞いたイブは「痩せようとさえ思えば痩せられるんだ!」という事を教えてあげる事ができたら光栄だと思い、こう言った。

イブ「痩せようと思えば痩せられるよ。食べて得るエネルギーよりも動いて使うエネルギーの方を多くすればいいだけなんだから」
A「そんなのわかっているわよ。それを“やる”のが難しいんじゃない」
B「そうよ、そうよ」
イブ「簡単だよ、ただやればいいんだよ。やってみせてあげようか?」

こうして痩せる必要もないのに、イブは一ヶ月半で6キロ痩せると宣言、実際にそれを達成した。

そしてAさん、Bさんに結果を報告。

イブ「ほら、簡単にできただろう?」
A「それはイブだから出来るんだよ!私にはそんな精神力ないから無理だよ~」
B「そうだよ。そんなに簡単に誰でも痩せられたら、やせ薬やダイエット法の本なんか買う人いないよ~」
イブ「・・・・・・・」

確かにそう思われてもしょうがないかもしれない、、、
目の前に100キロのバーベルがあり、「簡単だから持ち上げてみな」と重量挙げのゴールドメダリストに言われたとしても、イブ自身、「それはあなたなら出来るでしょう!私はそんな訓練していないんだから無理ですよ」と言ってしまうな、、、と気づいたのだ。

『あの人なら出来る、でも、私には無理』
このような捉え方をされることで、「自分がやってみせても全く相手に響かない」という強烈な経験をすることとなった。

そして、この経験はその後20年もの長い年月を経てイブに素晴らしい気づきをもたらすこととなる。

『自分ができることをやるだけでは相手に響かないんだ。でも、自分でもできるかわからないようなことにでも、それを達成しようと突き進んだとしたら、その行為は人々に勇気を与えるのではないか?』

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