ボランティアスタッフのMちゃんは2歳の男の子(Tちゃん)を連れて長期間泊り込みで参加してくれています。
基本自分は他の人の子育てには干渉しないのですが、Mちゃんの場合には小さい子を連れてのボランティア参加は大変だろうということでちょっと手を貸しています。
部屋の中で漆喰を塗ってる作業中、外でTちゃんが叫んでいました。
「ママ~、(長靴が)脱げないよぅ。ママ、来てよ!」
小さい子供のことは気になるでしょうが、呼ばれたからと言って毎回対応していたら、作業は思うように進みません。
1)かわいそうだから毎回見に行ってあげる
2)たまには見に行ってあげるかもしれないが、「今、作業中だから」と言って待たせる
1)ですか、もしくは2)でしょうか?
恐らく大半の人が2)を選択することと思います。
しかしながら、この対応を続けている場合、その後の子育ては苦労の多いものとなるでしょう。(理由後述)
では、1)はどうでしょうか?
これは完璧にし続けることができるのであれば子供も親もいい感じに思えるでしょう。
ただ通常は親の方の負担が大きくなりすぎて、おそらく続きはしないでしょう。
このため大半の人は2)を選ぶのですが、それでは苦労が絶えないのです。それはなぜだかわかりますか?自分が小さい子供の気持ちになって考えてあげればわかります。
自分がママを選んでる時にただ「待っててよ」と言われたらどう思うでしょうか?黙っておとなしく待ってられるでしょうか?まだ2歳ですよ^^
小さい子にとっては、待っていなきゃいけない理由がよくわからないのです。
「作業中だから」と説明したって?
ふふふ、それでは説明したことにならないのです。
「作業止めてくればいいじゃないか何で来ないんだよ~」と思うでしょう。もしくは「”作業”って何?そんなのいいから早く来てよ。」と思うかもしれませんね。
小さい子供にちゃんと説明してあげる親って、かなり少ないと思うんですよね。でも子供というのは小さくても、割とすごくしっかりしているものなのです。言葉が喋れるぐらいだったらかなり理解できます。
更に、2)を選択するとかなり面倒になるのは次の理由からです。
子供は納得感がないまま待たされるため、イライラは更につのります。そこで、ママを呼ぶ声はどんどん激しさを増してきます。
そして、、、そこでついに耐えきれなくなってママがかまいに行くことになります。
これは子供から見たらどのように学習すると思いますか?
「ママは激しく呼ばないと来てくれない。次からも激しく呼ばないと!」
このように学ぶでしょう。そして面白いことに、これはママが一番学んでほしくない内容のハズなんですよね^^;
というわけで自分はどんな選択肢をとるかと言うと、、、
1でも2でもなく3)納得するまで話し合うです。
「おいおい、そんなの時間かかりすぎるだろ!」と思うかもしれません。
実はそんなことないんですよね。というのは、ちゃんと話せば次から分かってもらえますので一度ですむんです。だから何度も行ってあげる必要はないし、何度も待たせる必要もなくなるんです。
今回のケースでは自分はTちゃんの所に行き、こう言いました。
「イライラしてるだけだったら長靴は脱げないよ。ママも困っちゃうよ。」
Tちゃんはすぐに泣きやみました。そう、すぐに泣き止んだのです。あんなに激しく泣き叫んでいたのに。安心感を与えてあげることがどれだけ重要かが分かってもらえるでしょうか?
そして長靴の脱ぎ方を教えてあげました。脱がしてあげるわけじゃないんです。もしここで脱がせてあげたとしたら、その後も毎回毎回、脱がせに行かなきゃいけなくなりますからね^^;
Tちゃん、教えた通りに自分でやってみたら一発で脱げました^^
これにTちゃんは気を良くしました。
私は脱ぎ終わった長靴をもう一度履かせ、もう一度自分で脱いで見るように言ってみました。
Tちゃんは喜んでトライしています。
そしてまた無事に脱げたのです!Tちゃんはすごく嬉しそうですごく誇らしげでした。
「ほらねイライラしてたら何も進まないけど、やってみればできるようになるんだよ。これは大人でもできない人がいるから教えてあげたら?」
と言うと、、、周りの人に教え出したのです。
「イライラしてると、できるものもできなくなるよ~」
結局、結構な時間を取ってるじゃないかと思うかもしれませんが、これが後々にもすごく良い影響を与えるのです。
実際その好例が、その日にすぐに出てきました。
誰に言われたわけでもなく、Tちゃんが一人でおしっこに行くと自ら言い出したのです。これにはママもびっくり。
そして、、、無事に一人でおしっこすることができたのです。
面白いのはここからです。
あんなにママにベッタリだったTちゃん、「おしっこひとりでできたよ!」と叫んでこっちに来ます。
ママは喜んで自分のとこに報告に来たと思っています。
が!!
Tちゃんの口から出たらこんな言葉でした。
「おしっこ一人でできたよ~、室田さん!」
これにはママすごくびっくり。「え?私じゃないんだ?!」
これ、すごく面白くないですか?
Tちゃんは、私がTちゃんの成長を望んでいるということをしっかりと分かってくれているのです。そして成長したのを見たら、私がすごく喜んでくれるのを知っているのです。
だからわざわざ報告に来てくれるのです。
ではなぜ大好きなママは差し置いてても私の方に言ってくれるのでしょうか?
ママは自分を甘えさせてくれる存在、私(ヤス)は成長をさせてくれる存在というふうに思ってくれているようです。
自分の場合はTちゃんの成長になると思えば、ちょっと厳しめな事言うことも結構あります。普通はそんなことしたら怖がられたり嫌われると思うかもしれませんが、実はそうでもないのです。相手の幸せを本当に望み、相手の成長を本当に望んでいることが分かってもらえれば嫌われることはないのです♪
自分はいつも自分の子供にもそう接してきました。
そしてありがたいことに、子育てで苦労を感じたことは一度もありません。
父親だから子供とあんまり一緒になかったんじゃないかと思うかもしれませんね。しかし私の場合仕事に出ていなかったので、子供が小さい時はずっといつも一緒にいたのです。
もちろんぐずったり、色々と手がかかることもありましたが、そのたびに色々教えてあげるとどんどん一人でできるようになっていったのです。
そして自分としてはそんな子供の成長を見てるのがすごく楽しかったのです。
子育てで苦労するという親御さんは多いようなので、ちょっとでもこの記事が参考になれば嬉しいなぁと思います^^
追伸 2018.12.20
今日もMちゃんからこんな報告が。「室田さんに報告があります!Tちゃん、あの後また、おしっこ自分で行きました!」Tちゃんがぐずっている時、ちょっと行ってあげるとすぐに自立的な動きをしてくれます。はしごに登って「一人じゃ降りれない~!ママ、抱っこ~!」と叫んでいた時、ちょうど自分が通りがかったのですが、自分を見るとすぐに一人で降り始めました。「思いっきり甘えても良いけど、ママを困らせてはだめだよ。一人で登っても良いけど、一人で降りてこれなきゃね。」こんな説明を入れることで、すんなりと動いてくれるのです♪