ソラリスと里美は一緒に秘密基地を作るべく、近くの森から木を切り出し、 ほぞ穴を刻んだりしながら組み立て作業を進めていた。
慣れない作業で二人はスムーズに作業を進めることができなかった。
「あーかな?こうかな? 」
ソラリスは色々試行錯誤しながら楽しそうにやっている。
里美はうんうん唸りながらちょっと苦労している様子だ。
「あ、そうか!」
コツをつかんだソラリスは喜んで里美のところに行った。
「俺コツが分かったよ!これ、こうやればいいんだよ。木は曲がったりしているから、こちら側だけを見て線をつけてもうまくいかなかったんだ。ほら、向こう側からも見てごらん?実はまっすぐじゃなかったんだ。だから何をやってもうまくいかなかったんだよ。」
コツをつかんで嬉しくなっていたソラリスは興奮しながら喋った。
一方の里美は暗い表情をしている。
「ん?どうしたの?」
「だから駄目だったのか、、、。何回やっても全然うまくいかなかった。はぁ、、、結局午前中全部使って一個もできていない、、、」
そう言って里美は項垂れている。
”え?!やり方わかって嬉しくないの?!”
ソラリスは、ちょっとビックリしながら言った。
「でもさ、やり方わかったから、午後はばばっと進むじゃん♪」
明るく言うソラリスに対して、里美はやはり沈んでいる。
「私、やっぱりこういうの才能ないんだ、、、。失敗だらけだもん、、、」
思いもしなかった里美の反応にソラリスはひどく驚いた。
”えええ?なんでやり方わかったのに沈んでいるんだ?”
あまりにも不思議な里美の反応について、頭を悩ませたソラリスは、家に帰り、ソラディスに今日あった出来事について話した。
「地球では、『人生は学び』と言うことを知る人はそれほど多くないんだ。そして、成功/失敗、善/悪など、色々な尺度で物事を考えるという特徴を持っている。」
ソラリスは黙って聞いている。
「この善/悪などの尺度は周りの人間により決められ、その尺度を用いる人が多ければ多いほど、より固められていく。これはかなり興味深い。自分の感覚ではなく、周りからの尺度で行動の判断を決めるようになるんだ。」
「ええ?自分の感覚はどうなるの?」
「自分ではこうやりたいと思っても、そうやるのは良くないことだという尺度を優先し、違う道をとることが多い。もちろん、想いが強い場合には尺度よりも想いが優先されるがね。」
「でも、今日の場合はなんで里美は喜ばなかったの?」
「うん。それも尺度だろう。”半日あればこれくらいはできないとダメ”という尺度を彼女は持っていたのではないかな。」
「ふうむ、、。なるほど、、。それに満たなかったから、自分はダメだと思ったのかな。でも、やり方わかったのだから、午後の半日はもっと上手く出来たはずだよね。そうしたらダメではなくなったんじゃないのかなぁ。」
「それはそうだろう。しかし、その前に”自分はダメだ”という尺度に強く引っ張られてしまったんだろう。地球においては、そういうことはよくあるのだよ。」
「う~む、、、凄い。そんなことがあるのか、、、。ちょっと信じがたいな、、。」
ソラリスは自分とあまりに考え方が違う里美に興味を持ちつつも、もっと楽しい考え方があるのに、、、と思うのだった。