海外移住の候補地を探し回り、見つかった理想の場所が日本だった話

海外移住を希望した理由

豊かな自然に囲まれて暮らしたい


私は子供の頃から自然に囲まれて暮らしたいという希望を持っていました。赤毛のアンやサウンド・オブ・ミュージックのような世界に憧れていました。自然の中に浸れるような環境が自分の理想だったのです。
一方、日本国内で景観が良いと言われる所に旅行にいくと、スポット自体には素晴らしい景観があったりしても、周りには看板やガードレール、お土産屋などが目立っていたりして、自然の中に「浸る」感覚になれないことが多かったりしました。(今思えば、それは観光地化しすぎたところを訪れていたからですね、、)
そんな経験からも、人口密度が大きい日本よりも海外の方が自然の中に浸りやすいのではないかなというイメージを持っていたのです。

ゆったりとした文化

二十代後半、しだいに仕事が忙しくなり、仕事以外のことをする時間はなくなっていきました。自分の周りにも、忙しすぎて心身ともに疲れてしまっている人は沢山いました。

自分の働いていた会社は海外にも拠点があり、場所によりお国柄があるという話を聞きました。例えば、オランダ工場では定時帰宅が当たり前で、部長が話し中だろうがなんだろうが、鐘がなると皆帰宅すると聞きました。そこで、「良いですね!自分もそこに行ったら定時帰宅ですかね?」と聞いたら驚きの回答が、、、。
「そんな訳無いだろう。定時帰宅は現地で雇った人だけだよ。日本から赴任した人はそんなに早くは帰れないよ。」

自分はこのような答えが当然のように扱われることに大きな疑問を感じました。
自分がたまたまオランダで生まれ、その工場に勤務したとしたら、現地人として当然のように定時帰宅させてもらえたと思うのですが、日本に生まれ、日本人として勤務した場合には「家庭よりも仕事優先」的な姿勢を求められるのです。同じ人間なのに!

仕事をバリバリすること自体を否定するわけではなく、やりたい人はバンバンやればいいと思うのですが、それ以外の時間の使い方も尊重されたら良いなと思うのです。

日本では仕事とプライベートのバランスが、全般的に極端に仕事偏重になっているように感じていました。これも海外移住をしたくなった理由の大きな一つでした。海外の方が仕事以外にプライベートな部分も大切にしやすいと考えたのです。

候補地探しの旅

そんな私は、将来の拠点を海外に置くことを念頭に、世界中を見て周ってみることにしました。

北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど、20カ国程を周り、自然環境や気候、文化などを出来るだけ肌で感じてみました。観光旅行みたいなものから、長い場合には半年も滞在したものまで、場所によって色々味わいました。

やはり実際に足を運ぶのは良いですね!楽しいことも逆に楽しくないことも、全てがしっかりと体験できます。また、現地での生活がリアルに想像できるようになりますね。

お金は問題じゃない! ~ブルガリア~

ある日、テレビで海外に住む日本人を紹介する番組を見ました。そしてその番組は私に素晴らしいヒントをもたらしてくれました。

かなり前の話なので記憶は曖昧なのですが、番組で紹介している国は確かブルガリアで、その田舎町で半自給的な暮らしを営む家族が紹介されていました。野菜は裏庭で作り、牛乳は隣のおじさんから入手して、ガスはなく薪で調理をしていたか?なんかそんな感じの暮らしだったと思うのです
、その家族の生活費は月に7000円位だったと思います。

この番組を見て思いました。「ブルガリアであれば年間10万あれば暮らせるのか!1000万あったら100年暮らせる!という事は、妻と貯金を合わせれば、既にもう働かなくても生きていけるということだ!」

そして更に思ったのは、「今回たまたまブルガリアの例を知っただけで、実はバングラデシュとか他の国では年間5万でも暮らせるかもしれない。逆に、年間20万円かかるけどもっと快適な選択肢があったりするかもしれない、、、。」

これらの事に気づけたのは物凄く大きかったです。経済的な心配がいらないという大きな安心感を得ることが出来たからです。

「お金のために嫌々ながらに無理して働く」などという選択肢を必ずしも取る必要は無いと教えてくれているのです。何かあったら、ブルガリアに飛んでいけば、なんとか生活できると思ったので。ブルガリア語はもちろんまるっきり知りませんでしたが、それまでの自身の体験から、語学に関して、まるで心配は感じませんでした。

日本のポテンシャルに気づく

いろいろ調べているうちに、面白い本を見つけました。昔、日本政府から派遣されてスイスやドイツなどに牧場の研究に行った調査隊の話です。スイスなどは山を観光資源として有効に活用しており、日本もそれに学びたいと思ったようです。
調査隊の結果は、牧場を作るための土地として日本ほど優れた環境はないという事でした。これは自分に大事なことを思い出させてくれました。

実は自分も日本のポテンシャルは知りながらも、ただ忘れていた、そしてちょっと諦めていたようなフシがあったのです。

ドラえもんのタイムマシンがあったら行きたいところはどこ?と質問されたとしたら、自分の答は「昔の日本」でした。海岸に松があり、背景に富士山、横には和服を着た人々、、、そんな風景をみたら痺れますね!

そしてもう一つ、ものすごいヒントを自分は前からもらっていたことに気づきました。
野尻湖国際村(NLA)です。そこに祖父の別荘があり、私は赤ん坊の頃から毎年そこを訪れていたのです。小学校の夏休みは毎年、一ヶ月以上そこに滞在していました。

そのNLA、何がヒントかというと、その場所は自分からすると理想の環境だったのです。日本にありながら、まるで海外。公用語も英語なくらい海外なのです。効率よりも快適さを求め、皆で助け合いながら生きていくという文化がそこにありました。
・お金持ちでなくても家が持てるよう、物件価格は上限500万。
・車が速い速度で家の前を走らないようにアスファルト舗装ではなく砂利道+バンプ(障害物)
・住民はゴルフ場、プール、テニスコートなどが自由に利用可能(会費は払っている)
・自然の景観を残したままの住環境

そうです。日本でも創れるのです。そんな環境は!

開拓開始!

自分の好みから、「自然が豊かで標高が高い所」という視点で日本をグーグルアースで見てみると、山梨県北杜市というところが目に留まりました。そして早速そこに移住し、農園を創り始めました。
この部分は自分のSTORYの別記事に詳しく書いてあるので、興味がある方はそちらを参照願います。

そして20年以上放置されていた耕作放棄地や原野などを開拓し、自然体験施設;ビヨンド自然塾を立ち上げました。そこでは多くの人達とともに小屋やツリーハウスを作ったり、火で温めることが出来るベンチ(rocket mass heater bench)を土で作ったり、米や栗、タケノコなどの収穫をしたりと、里山を活用した暮らしを提案しています。

その北杜市、その後に人気が急上昇して今では移住希望先として全国No.1の人気を誇るまでにもなっています♪

2018年にはこんなお家まで建てました。

気づけば理想郷!


自分がやっていることは、私にとっての『心のブルガリア』を実際に日本に創り、他の人達にもそれが可能であることを伝える活動です。「食べて寝れる」事が保証されれば、イヤイヤ仕事に行くなんてことはなくなり、本当にやりたい事をするようになるのではないでしょうか?
実際に体験した人の多くが北杜市に移り住みたいという希望を持つようになるため、2015年には移住支援(空き家改修・お試し滞在施設)のNPO法人みんなの街を立ち上げた程です^^

終わりに ~伝えたいこと~

このSTORYを通して伝えておきたいのは、「日本の田舎などには可能性がある」というのも一つですが、もう一つは、「環境は自ら作れる」という事です。

逆に言えば、自ら動かない限り、新しい環境はなかなか現れないでしょう。

例えば田舎には沢山の空き家が使われずにありますが、そのような情報の多くは不動産会社のホームページには掲載されないため、現地に足を運び、知り合いなどを作ってから出ないと知ることも出来なかったりします。

また、そのような物件は手入れ(片付け・改修)が必要なことが多く、それを自分でなんとかしようと努力していると、周りから手を貸してもらえるようになったりします。

ただ都会にいてインターネットを見ているのと、実際に現地に足を運ぶのはぜんぜん違うのです。電話口で話しただけの人と、実際に顔を見て会話した人とでは、信頼度や応援したくなる気持ちはまるで違ってくるのです。

日本は今、人口の殆どが都市に流れており、田舎はかなり贅沢に残されたままです。このような資源を活用した暮らし、あなたも如何ですか?