何のために生きるのか?自分はどこに向かっているのか?

以前ソラディスと会って感銘を受けた里美は、親友の乃々香を誘ってソラディスのもとに連れて行った。

「面白い人がいるから一緒に会いに行こうよ。絶対お話した方がいいよ!」

「え~、、行くなら買い物とかにしようよ~。」

乃々香は気乗りしなかったが あまりにも里美が熱心に誘うのでついて行くことにした 。

 

里美と 乃々香、ソラディスの3人で食事をとっていると 乃々香の大学生活の話になった 。

 

「乃々香は今、何を大学で学んでいるんだい?」

 

「教育です。教師になりたいんです。」

 

「授業は忙しいのかい?」

 

「そうですね。ほぼ毎日あります。」

 

「なるほど。授業は面白いかい?」

 

「面白くはないですね、、資格を取るためにやっているんです。」

 

「ふーむ、、、」
ソラディスは少し間をおき、そしてまた尋ねた。

「乃々香は自分で先生をやったことあるかい?授業実習とか。」

 

「ちょっとはありますけど、ほとんどないですね。」

 

「教師になろうとしているのに教師の練習もしていないのかい?」

 

「そうなんですよ。おかしいですよね、、、」

 

ソラディスは黙って、じっと 乃々香のことを見つめている 。
そしてまた口を開いた 。

「乃々香は先生になろうとしているのに、教え方がおかしいと自分が思う先生から習っているのかい?」

 

「・・・・」

乃々香は”確かに、、、”と思い、 少し何か考えていた 。

 

その乃々香に対してソラディスは優しく言った 。

「教師になろうとしているのであれば、どんどん教師の練習をした方が良いのではないかな?資格の勉強なんてむしろオマケでしょう。」

 

「いえ、でも資格に受からないと先生になれないんですよ。」

 

「何年もかけて勉強して資格を取ったとしても、実際に先生になってみたら嫌だったということもありえるよね?」

 

二人の会話を聞きながら、里美は嬉しそうに頷いている 。

 

「そもそも実際に先生役をそんなにやったこともないのに、本当に先生になりたいかどうかなんてわかるかな?」

 

ソラディスのこの発言に乃々香はうむむ、、、と唸った。

 

「実際に教師になって数年以内に辞める人は結構多い。大学で学ぶのと実際の現場とでは全然違うからね。」

「例えば資格試験を満点で合格したとしても、生徒が聞く耳さえ持ちたくなかったりしたら、、、生徒からしたらそんな先生はゼロ点じゃないかな?」

「逆に資格なんか持ってなかったとしても、生徒を幸せに導くことができるとしたら、それは物凄く立派な教師だと思うんだけどな。」

 

「それはそうかもしれませんけど資格がないと教師になれませんよ?」

 

「普通の学校はそうかもしれない。でもそうでない学校もあるよ。実際、自分は資格なんて持っていないけど先生をやっているよ。」

 

「でも先生の練習をする機会なんてなかなかないんですよね、、、」

 

作るんだよ。自分で。」

「大学には学生がいっぱいいるんでしょう?彼らを集めて何か教えてみたらいいじゃない。近所の小学生や中学生でも良いね。」

「自分が本当に教師になりたかったとしたら、自分だったらそうするね。その辺の小学校や中学校とかを回って先生をやらせてもらったりするかな。そんなのやらしてもらえるわけないとか思うでしょう?それはやってみなくちゃわかんないんだよ。」

 

「え、そんなの考えたこともなかったな、、、」

「乃々香、普段から、自分が本当は何をしたいのか、何のために行動しているのかを考えるといいよ。」

 

「自分はそうしてるつもりだったんだけどな、、、」

 

「普段取り入れる情報が多すぎて整理が追いついていないんだ。少しゆったりとした時間を取りなさい。そして自分の感情に耳を傾けるんだ。」

 

「例えば授業中にあくびが出たとする。何かおかしくないかな?興味が低いのかな?ついぼんやりと違うことを考えてしまうとする。そうだとしたら、本当はそれに興味を持ってないことになる。」

 

乃々香は思い当たる節があり、う~む、、、と何やら静かに考えている 。

 

ソラディスは続けた。

「『自分はなんのために教師になりたいのか?』
こんなことを普段から考えていれば、資格をとることよりも、目の前の子供達にやさしくしてあげることや、自分の家族や友達にやさしくしてあげることの方が大切だったりするということに気づくでしょう^^」

 

静かに聞いてる乃々香に対して述べられた次の言葉は、彼女のその後の人生を大きく変えるものだった。

全ては遊びと同じなんだ。もしやりたくてしょうがないと思えないのだとしたらそれは何かがおかしい。本当に行きたいところとは違うとこに向かっているというサインなんだよ。」