「神との対話はできるようになったかね?」
久々に里美に会ったソラディスは訪ねた。
「意識して練習はしています。しかしなかなか出来るようにはなりません、、、。なんとなく出来ているような気がする時もあるんですけどね。」
里美の様子では進捗状況は芳しくないようだ。
「普段は目の前のものを通じて対話をしているだろう?でも神との対話というのは、目に見えるものだけで行えるものではないんだよ。むしろもっと大事なのは、目に見えないものを通しての対話なんだ。」
「目に見えないものですか、、」
「目には見えないけど感じることができるものだよ。なんだかわかるかい?」
「目に見えないけど感じることができるもの、、、、うーん、、、匂いとか?」
「あーなるほど。確かにそれもそうだね。でも、もっともっと、もっとずっと重要なものがあるだろう?」
「もっとずっと重要なものですか?」
「まさに神と対話するためにあるものだよ。」
「まさに神と対話するためにあるもの?!うーん、、、」
「匂い、音、、、、感触!」
里美はこれはいいぞ!といったような表情。
「おぉ、いいね!」
「感触ですか?」
「感触もそうだけど『感情』だね。」
「あ、なるほど!」
「で、、でも、、どうやって対話するんですか?」
「以前、野菜に虫がついた時、なぜ野菜につくのか虫に聞いてごらんと言ったよね。その時と一緒だよ。」
「ん??なぜその感情が沸き起こるか聞いてごらん、ということですか?でも、それって何に聞くんですか?感情に聞くんですか?全然答えてもらえるイメージがわきません、、、」
「自分の心に聞くんだよ。なぜこんな感情が沸き起こるのだろう?どんな意味があるのだろう?ってね。」
「うわー、これまた難しそうですね、、、」
「感情が沸き起こる時、それに耳を傾けてごらん。いや、ただそのように言ったらよくわからないかもしれないね。」
「虫と話してごらんと言ったけど、ただ虫に話しかけるというのではなく、虫を通して神と対話するんだと言ったよね。感情についても同じなんだ。目の前で起こっている出来事と感情を素直な気持ちで見て、心に耳を傾けるんだ。そうすると両者に関係があることに気づくだろう。これもまた、できるようになるまでちょっと時間がかかると思うけどね。」
”わー、これまた時間がかかるのか、、、、”
里美がちょっと残念な表情をしているのを見てソラディスは言った。
「多くの人たちは自らの感情にただ振り回される。イラつき、不安になり、それにより普段できることさえもできなくなったりする。そんなことしても無駄だとわかってはいながらも、やっきりまぎれに変なことをしてしまったりする。」
「しかしながら、感情に意味があることがわかると、思わずイラついてしまったことや、悲しい気持ちになったことにさえも感謝の気持ちがわくだろう。そして、感情がメッセージだということが真に理解できるようになれば、自分の好みではない感情は自然に湧かなくなる。そして面白いことに、自分に心地よい感情は増幅させることもできるんだよ。」
「感情を通した神との対話ができるようになれば、自分が生まれてきたことに意味があるということがわかるだろう。そうしてはじめて本来の目的に向かって歩き始めることができるんだよ。」