達夫; 「ソラディス、聞いてくれよ。
町のやつが畑に農薬をばらまいているんだ。こんなんじゃ循環的な暮らしなんか出来やしない、、、」
達夫は最近新天地に移住したばかり。
『自然』が好きで、自然を守りたいという気持ちを強く持っている。
ソラディス; 「達夫は何が不満なんだい?」
達夫; 「自分はせっかく自然が沢山残っているこの田舎の島を綺麗なまま残したいんだ。何故この町の人々は大地や海を傷付ける農薬を蒔くのだろう?どうやったら僕が思っているようなことを伝え、導いてあげることが出来るのだろう?」
ソラディスは微笑みながら口を開いた。
ソラディス; 「導くか、、、なぜ導く必要があるのかな?彼らに好きなようにさせてあげたらいいのではないかな?」
達夫; 「だって、海や山もこの自然も傷つくんだよ?!農薬の弊害を彼らはわかっていないんだ。」
ソラディス; 「彼らはなぜ、農薬をまくのだろう?彼らがなぜそのような行為を取るかが達夫には理解できていないだろう?」
不満気な達夫の表情を見ながらソラディスは続けた。
ソラディス; 「”彼らは農薬の弊害がわかっていないんだ、、”ただそれだけが理由だと思うのかな?
彼らの本当の気持ちを聞いてごらん?彼らは自然を壊そうとなんて思って農薬をまいているのではないことがわかるよ。
彼らの気持ちを知る時、彼らに対する感情は変わるだろう。
『導こう』と努力なんてする必要はなく、ただ、自分の考えや想いを伝えたり、行動に示すだけでいいことがわかるだろう。
なんたって、彼らはなにも間違ったことをしているわけではないのだからね。」
達夫; 「確かに自分にはまだ、彼らの気持ちをしっかりとは把握できていない、、、。でも、、農薬は悪いことに決まっている、、」
ソラディスは達夫の気持ち、人間の気持ちというのがよくわかった。
彼らの『葛藤』というものが、、、
ソラディス; 「達夫、、、これは人間にはなかなか理解してもらえないかもしれないが、、
善悪なんて言うものはないんだよ。善とか悪とか線を引くのは君たち人間の心なんだよ。達夫は創造主は信じるかい?もし創造主がいるとして、この世を作ったとしたら、『農薬』なんてもので崩れてしまったりするようなもろいものを作ったりするかな?
『やってはいけないこと』などがあったとしたら、そんなのはもとからこの世に創りださないのでは無いかな?」
達夫はソラディスの言うことが良く理解できなかった。
ソラディスは表情からそれを読み取り、ただ静かに言った。
ソラディス; 「急ぐ必要はない。焦る必要はない。ただ、相手の気持を知ろうとしてごらん?自分が導いてあげようとした人々が、実は逆に自分を導いてくれていることに気づくから。その壮大なドラマに、胸が熱くなる様な時が来るから。アハハ、そこが人生の面白いところなんだよ。」