ゆうこは悩んでいた。自分を他人と比較し、無力感を感じていた。
どう生きていけば良いのかもわからなかった。
ゆうこの淋しげな表情に気づき、ソラディスは声をかけた。
「お嬢さん、なにかお悩みかな?」
ゆうこは少しずつ喋り始めた。最初はどこまで話して良いのだろうとか考えていたが、やさしく聞いてくれるソラディスに安心感を覚え、心の内を話し始めた。
「私、特に特技があるわけじゃないし、自分自身に自信が持てない、、直さなきゃと思いつつも直していない自分の性格もキライ、、、」
真の自分に気づいていないんだ
ソラディスは口を開いた。
「何ができるか、肩書とか、年収とか、そんなのは実は取るに足らないことなんだよ。逆に、そんなのに惑わされず、まっすぐに自分を見てくれる人を大切にしなさい。
人にはいろいろな価値観があり、ものすごい量の情報を聞かされると、何が正しいのかはわからないと思うでしょう。
ゆうこは自分には何もないと言っていたけど、そんな事はないんだよ。誕生日におめでとうと言ってくれる人がいたり、困ったときには手を貸してくれる人がいる。これは、見ず知らずの他人ではなく、ゆうこちゃんだからそうしてくれるんだ。資格があるとか手に職を持っているとか、そんなのとはまるで関係なしにね^^」
「これは理解が難しいと思うので、さらりと流してもらって良いのだけど、ゆうこは自分のことをちっぽけな存在だと思っている。ちっぽけな「人間」という存在だとね。でも、実はそうではないんだ。真の自分に気づけば、「自信が持てない」なんて発言は消えてなくなる。自も他もない、全ては一つであることに気づいたら。」
理解を超えたソラディスの話についていけないところは感じつつも、自分のことを認めてくれていることだけは強く感じることが出来た。
あなたはそのままで良いんだ
ソラディスは続けた。
「ゆうこ、あなたはそのままで素晴らしい。これは何も改善するところがないとか、何も変えるなという意味ではなく、自分を変えようと頑張っているゆうこも、それが出来なくて悩んでいるゆうこもまるごと素晴らしいという意味。」
「たとえゆうこが人殺しをしたとしても私はゆうこの事が好きだよ。このたとえは刺激的すぎるかもしれないけど、それくらい形式的なものなんていうのは関係ないんだ。重要なのはココだよ。」
そう言ってソラディスは自分の胸を軽く叩いた。
『何を思い、何をしたとしても自分のことを愛してくれている人がいる』と知れば、自由になれる。
人にどう思われるかとかばかり考えていないで、本当に自分が望むことをしなさい。傷つくこともあるだろう。傷ついたら良い。転んだら立ち上がる。転んだときは辛いかもしれないけど、あとで笑って話せるようになる。
辛くなったらまた話に来なさい。私はいつもここにいるから。」
ソラディスの話を聞き、ゆうこの心の霧は少し晴れてきた。
「『私には何もない』なんてことはないんだ。私にも私だからこそ持っているものがあるんだ!それを探してみよう!」