ある森の学校ではお金に関する授業を行っていた。
先生は話しだした。
昔々の大昔は、こーんなに大きな石がお金として使われていたんですよ。
なぜだか分かりますか?似たようなものがその辺に転がっていたら、お金としては価値がないものになってしまうからです。
皆さんも、葉っぱでお菓子が買えるとしたら、そこら中から沢山葉っぱを集めてお菓子屋さんに行っちゃうでしょう?
そうしたらお菓子屋さん、潰れちゃうよね?
だから小石じゃダメ。大きな石じゃなきゃダメだったのよ。
でも、ちょっと問題があったの。
なんだか分かる?
森に住むミーゴは答えた。
「そんなに大きかったら重くて持ち運べないよ!」
先生は答えた。
「正解!そこで他にもすぐには手に入らず、お金として使えるものを色々と考えだしたのよ。
小さい石でも、物凄く光っているもの、宝石とか金とかね。食べ物が貴重な場合には、食べ物自体がお金になっていたこともあるのよ。」
海に住むラーギョが手を上げた。
「先生、自分の住んでいる海では、きれいな貝殻がお金なんだよ!」
ミーゴは言った。
「貝殻か~。宝石みたいにきれいなのもあるしね。でも、ポケットに入れていたら割れちゃうんじゃない?」
先生「ミーゴ、良い質問ね!だから今、森では紙でお金を作っているのよ。持ち運びが楽でしょう?
宝石や金は壊れにくくてお金として使うのには良かったんだけど、ちょっと重いし、お金をみんなが使い出したら足りなくなっちゃったのよ。」
森の学校には最近、雲の上に暮らしていたソラリスという少年が転校してきていた。
先生はソラリスに尋ねた。
「ソラリス、雲の上ではどんなお金を使っているの?」
ソラリスは答えた。
「お金?うーん、、、、雲の上ではお金というのは使っていないんです。」
先生「え?どういうこと?」
ソラリス「私達は空を飛んで移動するので、できるだけ手ぶらでいたいんです。それに、、、」
先生「それに?」
ソラリス「実は僕、お金っていうものがなんだかまだよくわかっていません、、、」
先生「お金っていうのは寝、人があなたに何かものをあげたり、何かしてくれた時に、お礼として渡すものよ。」
ソラリス「あぁ!それならあります。目には見えませんが。」
一同「目には見えない?!」
ソラリス「うーん、なんて説明したらいいのかな、、森の学校の中でも使っているじゃない。『ありがとう』って^^ あれだよ。」
先生「ありがとうがお金なの?」
ソラリス「お金というのは何かしてくれた時にお礼として渡すものでしょう?だからそれが『ありがとう』!手を塞がないから、自由に空を飛べるんですよ~」
先生は深く考えさせられた。
「お金の講義なんて偉そうにしていたけど、お金の本来の意味なんて、ちっともわかっていなかった、、、、」
放課後、先生は雲の上にあるソラリスのお宅を尋ねた。
先生がソラリスの父、ソラディスに今日の授業のことを話し、ソラリスには素晴らしいことを教えてもらい、感謝いたしますと告げた。
横にいるソラリスは笑いながら「先生、それがありがとうっていうお金だよ^^」
ソラディスは、先生を下界がよく見える展望台に連れて行った。
その光景に先生は息を呑んだ。
そこからは自分たちの住んでいる星がかなり見渡せた。
ソラディス「先生、よく見てみてください。この星には沢山の生命が宿っています。そしてそれがめまぐるしく動き回っている。」
先生「はい、ここからだとそれがよくわかりますね。」
ソラディス「生命が動いているだけではないのがわかりますか?」
先生「??」
ソラディス「この星では、生命が動き回っているだけでなく、あなた方が『お金』と呼んでいるものも激しく飛び回っています。ちょっとここから目で見るのは難しいでしょうが、、」
先生「はぁ、、」
ソラディス「私は思うんです。ここから見ていると、この星の中で生命が一生懸命生きようと動き回っている。そして『お金』と呼ばれるものもそれ以上に動き回っている、、。でもこの『お金』と言うのは、この星の中でただぐるぐる回っているだけですよね。この星の中で生命が生きようと動きまわるのに、お金も共に動かそうとするのは、労力を余計に食うだけではないでしょうか?」
先生は言葉に詰まった。
確かにそうかもしれない、、、。ここから見ているとお金はただぐるぐる回っているだけで、星としては何の特にもなっていない、、。そのために私達は色々なシステムや物流、時間を費やしているのか、、。本来ならなくてもいいものなのかも、、。まだまだ私もお金には依存しているし、お金が急に下界から無くなることはないと思うけど、目に見えるものではなく、目に見えないお金、、、素敵だなぁ。
ソラリス親子に別れを告げ、下界に降りた先生は思った。
『ソラからの視点』という遠足を企画しよう!是非、子供たちにも同じ光景を見せてあげたい!
ソラっていうのは空とソラディス親子のダブルミーニング、フフフ、私って冴えているわ^^