出来ないあなたがやるから響くんだ!

これは自分が富士フイルムに入社したての新人研修での一コマ。
入社試験には落ちながらも、自分の想いをぶつけることで逆転合格してしまった私は、楽しい新人研修生活を送っていた。

同期の仲間と富士急ハイランドへ

人と人との繋がりを重んじる自分は、研修中も同期との時間を大切にしていた。
研修中の休日に、仲の良い同期数人で富士急ハイランドに行くことにした。

そこにはフジヤマというジェットコースターがあり、皆で乗ろう乗ろう!という事に。

このジェットコースターには、乗車途中で写真を撮られるポイントが有り、そこに向かって皆でポーズを取ろう!と盛り上がっていた。

「ディズニーランドのスブラッシュマウンテンの写真は富士フイルムがやっているが、フジヤマはコニカらしいぞ!」
「なんだよ~、ライバルかよ~。」

そんな会話中、一人物凄く沈んだ表情をしている奴がいた。
アビルだ!

聞くと、彼はメチャクチャジェットコースターが苦手らしい、、、

「オイオイ、、皆で仲良くコニカで写真撮ろう言うてんのに、何言ってんねん。」

皆で励ましながら、共に乗ろうと催促したが、彼は勘弁してくれ!との事だった。

勿論、皆で楽しむことが目的で来たので、無理やりアビルを乗せることはせず、残りの皆で乗りに行くことにした。

 
一人取り残されたアビル、、、彼は思うところがあったのだろう。

途中から急に順番待ちの列に加わったのだ!

あんなに嫌がっていたのに、凄いな!アビル!

皆から賞賛の声、、、

順番待ちの階段を段々と上に登る途中、男性陣は上の眺めがよろしかったらしく、ニヤニヤしながら上の方を見ていた。(青春だったな~)

そして、いよいよ自分たちの番が近づいてきた!

自分たちの前に乗っていた人達が降りてきた。
その表情がかなり固い!泣いている人もいた、、、

それを見て、仲間のうちの女子の顔つきが蒼白になっていた、、、
アビルももちろん、表情は固い。

でも、ここまで来たら引き返せない。
さぁ、皆で乗るぞ~

アビルが手を上げた!

アビルはジェットコースターの先頭に座った。

カタカタカタ、、、段々とジェットコースターは地上高く上がっていく、、、

恐らくアビル以外の他の同乗者たちも内心怖かったのではないかな^^

そしていよいよ!最頂点から一気に滑り落ちるという時にアビルは両手を手すりから離して上に上げたのだ!!

「おぉ~、アビルが!!」

「皆も手を上げろ!」

アビルはテンパッて思わずあんなことをしたのかな。
彼の中でのジェットコースターと言うのはそういうイメージだったのだろう。

よくわからないが、彼が真っ先に両手を上に真っ直ぐ上げたのだ。

自分はそんな事は思いつかなかったのだが、彼が手を上げるのを見て興奮して自分も手を上げた。
そう、もちろん他の皆も♪

そして無事に落下が済むと、興奮した自分たちはアビルを讚えた。

「アービール、アービール!」

そう言いながら、皆で両手を上に上げたまま、手拍子を始めたのだ。

すると物凄く面白いことが起こった。

同期の仲間で6人位乗っていたのだが、それらの仲間が皆でアビルコールをしていると、そういう流れなのかな?と思った他の同乗者さんたちも共にコールに加わってくれたのだ!!

恐らく、『アービール』が人の名前とすらわかっていなかったんじゃないかな^^
それが自分としては物凄く面白くて、熱心にず~っとアビルコールを続けていた。

 
そう、盛り上がりすぎてコニカ写真のシャッターチャンスは逃しちゃったくらい(^_^;)
(結局、もう一度乗って撮り直した(^_^)v)

出来なくても頑張る姿が心を動かすのだ!

両手を上げたのがアビルではなく他の人だったとしたら、あれほど盛り上がらなかっただろう、、、
仲間との思い出づくりのため、勇気を振り絞って共に乗ってくれたことに感動したのだ

「絶対に乗れん!勘弁してくれ!」と本気で頼んできたアビルが手を上げたので感動したのだ。

『カッコーの巣の上で』というジャック・ニコルソン主演の映画がある。
その中で、主役のマクマーフィーは水飲み台を持ち上げようと試みる。
さほど力が強くない彼は本気で試みた。

自分にはここの場面は強烈に印象に残った。心を揺さぶる内容だったのだ。

残念ながら持ち上がらなかったが、彼は言った。

「少なくとも俺はトライしたぞ!」

これは同室の患者(チーフ)に勇気を与えるために言ったのだろう。

実際、チーフは「持ち上げた者には奇跡が起きる」とマクマーフィーが言った水飲み台を持ち上げて窓を破り、精神病院を脱走した。

マクマーフィーの本気のトライは、彼自身は成功しなかったものの、チーフの成功を呼び込んだ。

これは素晴らしいことを示唆していると思う。

出来ない人でも本気で何かをなそうと精一杯行動するのは、意味があるということだ。
トライしているうちに出来るようになってしまうかもしれない。

もし出来なかったとしても、その人よりも能力が高い人々は鼓舞されるだろう。

むしろ、出来る人が出来ることを示しても、残念ながらあまり響かないのだ、、

 
自分が街づくりや楽園創りをしているのも、このような想いがあるからだ。

自分たった一人では実は何も出来ない。何も進まない。
でも、だからこそ面白いではないか!

「あいつ一人じゃムリだろうから、ちょっと手を貸してやろうかな」

有難いことに、そう言って手を貸してくれる人が現れたりする、、。

 
自分は万能でなくて良かったと思う。
自分が万能であったならば、何でも自分一人でやってしまっただろう。

自分一人で出来ないからこそ、実は気づける事が沢山ある。
仲間と協働してできるからこそ感動が分かち合える。

自分は能力が低いなんて悲観する必要はない。
そんな自分だからこそできること、伝えられることというのが必ずあるのだから!

このSTORYで伝えたいこと

  • 出来なくっていいんだ!だからこそ伝えられることがある!
  • 伝えることで、他人が出来る様になることもある!
  • それは素晴らしい成果ではないか!