インドの強烈な異文化に直で触れて得られた学び vol.1 ~インド映画の『突然のミュージカル化』の素晴らしさが、現地で鑑賞することで初めて分かった!~ 

これは17年ほど前、自分が学生の頃にインドに行った時のお話です。今とはかなり環境は変わっていると思いますのでご了承願います。

初めてのインド

19歳の女の子との出会い

大学院の卒業旅行として、私はインドに一ヶ月一人旅に出ることにした。
そして行きの飛行機で一人の女の子(Aちゃん、たしか19歳)に出会った。

彼女は私の隣の席で、明らかに一人旅だった。
「こんな若い女の子がインドに一人旅とは、なかなか旅慣れているんだろうな」
こんな私の思いは、まるで見当違いだった、、、

「beef or chicken?」
スチュワーデスが夕食を何にするか聞いてきた。それに対する彼女の対応は、「今、何て言ったんですか?」と私に尋ねることだったのだ。

ちょっと心配になり、色々と話を聞いてみると、Aちゃんは海外旅行は初めてで、英語も話せないらしい、、、
自分は逆に関心した。

”凄い体当たり的な行動だな!ある意味凄い!”

この時はまさか、自分がこの子とインドで行動を共にすることになるとは思っていなかった、、、

 

タクシー!タクシー!

インドに着き、空港から外にでると、Aちゃんはすぐさまタクシー運転手に囲まれた
「taxi, taxi!」と叫びながら、タクシー運転手達はAちゃんのスーツケースなどを勝手に運び始めていた

オロオロとしているAちゃんを見て思った。
「この子、大丈夫か?!」

放っておく気にもなれず、Aちゃんを救出することにした。タクシー運転手達にスーツケースを返してもらい、自分と共にバスで街に向かうことにした。

AちゃんはYWCAに泊まる予定だと言っていたが、自分は何もあてがなかったので、泊まる所は街についてから探すつもりだった。

街で降り「それでは俺、これから探しに行くから」と別れを告げると、Aちゃんは不安になってしまったようで、もし良かったらご一緒してもいいですか?と聞いてきた

自分もその方が良いかなとは思いつつ、若い女の子が自分と二人きりで泊まるのは、それもまた彼女に不安を募らせる事かもなとも思い、言い出さずにいたのだ。

結局、私達はそれから数日間、行動を共にすることになった^^

最後、Aちゃんが一人でタクシーに乗って別れるのを見るのは、子供の『初めてのお使い』を見送る親のような、なんだか感慨深いものだった、、、

現地に行ったら現地人

自分は外国に行ったら、その文化に触れるのが一番楽しいと感じている。
その前に行っていたカナダもタイもそうだったが、現地の人と会話したり触れ合うことが物凄く楽しかったのだ。

 

カレーを手で! ~大失敗が逆に良かった~

そんな私がインドでやりたかったものの一つ、、、、
『手でカレーを食べる』

話には聞いていたし、そんなの簡単じゃん!そう思っていた。

自分はそんな軽い気持ちでいたのだが、思わぬ失態を犯した(^_^;)
そしてその失敗がまた、逆に良かったんだけどね^^

道端に山羊カレーを売るおじさんがいた。屋根もなく、ただ椅子と机が道端に置いてあるお店で、カレー一杯が確か20円位だった気がする(もっと安かったかも。とりあえず現地の他の店に比べてもビックリするほど安かった)。

そのお店はインドでも貧困層の方々が利用するような感じで、観光客がいきなり机に座ったのは意外だったようだ。
向こうの道路などに座っている現地人なども、コチラをチラチラ見てヒソヒソとおしゃべりしていた。

店員は自分を観光客と見ると、カレーにスプーンを添えてくれた。

”しか~し!自分は手で食べるのだよ、フフフ”
”左手でなく、右手を使うというルールは既に調査済みだよ♪”

ほくそ笑みながら自分は右手をカレーに近づけた。

その瞬間、、、
「うわっち!!」

猛烈に熱かった!思わず声が出て、手をサッと跳ね上げた。

周りで様子を見ていた現地人はコレを見て大ウケ!

誰もが包み隠さずに笑っていた。

現地人からの視線を受けながらスマートに自分の『現地人ぶり』を見せようと思っていたのだが、思わぬ結果となった(^_^;)

そして思った。

『おぉ、ウケた!結果的にナイス!』

そう、自分は失敗を恥ずかしいと思うよりも、オイシイと思う習慣があったのだ^^

そしてこの出来事により、一気に周りが自分に親近感を持ってくれたのだ!

嬉しそうに、カレーの手での食べ方も詳しく教えてくれた♪
(インドではカレーのスープ自体は熱く、ご飯はぬるいので、スープ部分に直に触れずにご飯部分をスープ部分に混ぜながら食べるのだそうだ)

自分はそんな人と人との心の触れ合いが一番楽しい!

ほんと、結果的にナイスだったな~、ちょっとやけどしたけど(^_^;)

 

駅で野宿 ~体験して初めてわかる~

そんな体験をしながら、自分は現地の人達と色々とお話をする機会を持つことが出来た。

インドには毛布のようなものをかぶって歩いている人が多かったので、自分もかぶって歩いてみたら、これがまたわりと便利だったりした。こんなのは体験して初めて気づけることだったな~

駅で寝泊まりしている方達が多かったので、自分もそこに寝てみたりした
その際にもこの毛布が役に立った^^

 

ドラッグディーラーとの出会い

街を歩いていると、ドラッグディーラーに声を掛けられた。自分はドラッグには興味がなかったのだが、『現地の人とお話をする』というのは大好きだった。

と言うことで、自分はそのディーラーから色々と話を聞いてみた

ディーラー 「日本も何回も行ったことあるよ」
私     「日本は島国だから入り込むの難しくない?」
ディーラー 「簡単だよ。船で簡単に入れる。」

へ~、そんなもんなんだ?

彼らとの話は興味深かっただけでなく、色々なことを自分に教えてくれることになった

その一つがコレ。
『お金は割り勘ではなく、金持ちが支払う』

自分はディーラー達とカフェで話をしていた。そして店を出る際に「これは割り勘でいいだろう?」と聞くと、不思議そうな顔をしていた。

そして先程の言葉を口にしたのだ。

自分はこの時は、「そうなんだ?」という気持ちよりも「こいつら、実はタカっているだけだろう?」という気持ちのほうが強かったのだが、話は面白かったし、100円位だったか?凄く安かったのもあり、支払いは自分がすることにした。

 

インド映画へ!

カフェを出ると、彼らのうちの一人が言った。

「インドで映画を見たことあるか?」

インドでは映画が娯楽の一つとして非常にポピュラーなことは知っていた。そして、何故か話の途中でミュージカルみたいになるヘンテコなものだと思っていた。

彼らは「是非一緒に見に行こう!」と誘ってくる。

「こいつら、またタカりたいだけじゃないのか?」

思わずこんな穿った考えが頭に浮かぶ、、、

しかし、ドラッグディーラーと自分、併せて三人分のチケット代としても非常に安かったので行くことにした。(観光客用でなく、現地人用のチケットがあり、コレが激安だったように記憶している。不明瞭だが)

そしてこの経験が自分のインド映画への評価をまるっきり変えることになったのだ!

英語字幕も出ないまさに現地人用の映画館に入り、ヒンズー語のわからない自分に横にいるドラッグディーラーがたまに内容を英語で教えてくれる。

凄い良い奴なのだ^^

そして映画が盛り上がってくると、、、

「うわ~、出た!ここからまたどうせミュージカルみたいになっちゃうんだろう?」

なんて思っていると、ここで自分がまるで予想もしていないことが起こった!

何と、観客が皆、椅子の上に立ち上がり、映画の中の音楽にあわせて歌を歌い始めるではないか!!

「えぇ~、何コレ?!!」

これにはかなりビックリした。観光客用の劇場ではもしかしたらありえない光景だったのかもしれない。
ただ、現地人用の劇場ではこれは当たり前のようだった

「インドでは音楽のヒットチャートは全て映画から出てくるんだよ」

と現地人から聞いて履いたが、それはこういうことだったのか、、、、
確かに歌を知っていないと、この劇場で一緒に盛り上がるのは難しいからな~

これまた面白いことに、歌が終わると、あれだけ椅子の上で踊りながら熱唱していた観衆は皆、静かに腰を掛け、何事もなかったように映画の鑑賞を続けたのだ。

「これは凄く良い経験をさせてもらったぞ!」

インド映画のビデオ(当時はDVDではなくVHS)を日本で借りて見たとしても、絶対にこの盛り上がりは気づけなかったと思う。

自分はこの体験により、インド映画での突然のミュージカル化の魅力に初めて気づくことが出来た。
やはり体験に勝るものはないのだ(^_^)v

そしてこの事は強く以下の様なことを自分に思い知らせることになった

『体験しているかしていないか、背景を知っているか知らないか、、、この隔たりは大きく、体験していないものは、体験しているものの言うことが理解できないとしても無理は無い。逆に、相手のことがまるで理解できないとしても、それは相手の背景を自分が知り得ていないだけの可能性は多々あるという事だ。』

この意味の重要さがわかるだろうか?

多くの場合、自分と違う考えを持つ人のことを遠ざけたりしがちだが、それは単に相互の理解不足なだけで、お互いにコミュニケーションをしっかりと取り合えば、お互いの気持が分かり合えることを示唆しているのだ。

こんな有難い気づきをもたらせてくれたインド旅行は、まだまだ続くのだった。

インドの強烈な異文化に直で触れて得られた学び vol.2 ~線引の緩さ~ に続く、、、

このSTORYで伝えたいこと

  • 体験に勝るものなし!
  • 色々な人との交流は価値観を劇的に変えうる!