Aちゃん、一ヶ月の滞在での気づき ~卑屈になる必要はないんだ!~

Aちゃんが体験談を書いてくれました。Aちゃんは木と土の家作りイベントに京都から参加してくれた子で、イベント期間中の一ヶ月をビヨンドにボランティアスタッフとして滞在してくれました。

滞在中、色々な出来事がありましたが、それらはすべて意味がありました。

同時期にU君も泊まり込みでボランティアスタッフとして加わってくれたり、子連れのMちゃんも加わったり、Sさんとの関わりもあったり、、、

作業中、Aちゃんの気持ちが落ちているのに気づいた際、「これか、、、」と思いました。彼女は「自分はできない、、」と思い込むくせがあり、その癖が強まるような考え、行動パターンをとっているのがはっきりと見えたからです。

逆に言えば、そのパターンとは反対に、「実は自分ってできるじゃん!」とか、「できなくても駄目なんてことはないんだ、、、」ということに気づくことができれば、気分が落ちることはなくなり、モチベーションも上がるようになります。

そして、、、、

実際にAちゃんはそうなったのでした♪こんな変化を見ているの、凄く嬉しいですね~。
ビヨンドにはボランティアスタッフが沢山来てくれますが、その理由は実は、こんなことが日常的に起っていることとも関係していると思います^^

そんな彼女が体験談を書いてくれましたので、記事の最後に紹介させていただきます。


協力作業。


ものづくりが好きな彼女、麻ひもでベルトを編んでいました。


便座も彼女が作ってくれました。


大まかなやり方のみ伝え、自由に作ってもらいました。


素晴らしい出来栄え!

諦めずにものづくりをすることで、できる作業は増え、やる気も上がってきたAちゃん。


自発的にトイレの階段を作ってくれました!!


「設計は苦手なので無理です!」と言っていたAちゃん。

「設計なしに作るほうが難しかったりするよ。設計したほうが楽だから、皆、設計しているんじゃない?いきなり本番でミスるより、紙の中で一度作ってみた方が楽だよ。」と伝えると、自らペンを持ちました。学ぶ姿勢を感じますね!!

A.M.さん 女性 30代 ~1ヶ月のボランティア+木と土の家作りを体験して~

■■手を動かしながら考え、感じ、世界に呼びかけ続けること■■
A.M(34歳)

 室田さん、みなさん、ビヨンド自然塾では古民家改修そしてコードウッドハウスづくりを中心に、そのほか日々のこまごましたことや、みなさんとの心の交流もすべて含め、中々得がたい素晴らしい体験をさせていただきありがとうございました。
 私は今年の7月に、同僚とのトラブルをきっかけに3年間勤めた会社(はじめて正社員として就職した会社!)を辞めたのですが、それからもトラブルで受けたショックから心身の不調が治らず、自殺願望にさいなまれたり、時々頭が締め付けられるようになるなどの状態が続いていました。性格も変わってしまって、常にだれかを心の中で攻撃したり非難する傾向が強くなっていました。でも、10月初めから北杜市での滞在を経た今(11月末時点)では、それらの症状は劇的に改善しているのを実感します。心は壊れ物、一度壊れたら簡単には治らない。ずっと辛さを抱えて生きていくのかと思っていたので、人間がこんなに回復できるなんて、と驚いています。北杜市の美しい自然とみなさんの優しさのおかげだと思います。

 今回の滞在で、とくに印象的だったこと、学びになったことなどを思い出しながら書きます。

 まずは古民家改修作業について。私はこれまでほとんど木工作業をやったことがなく、作業を通じていろいろなことを学ぶことができ、とても良い経験となりました。

 私は長くモノづくりに興味があり、20代のころは服作りの仕事をしたいと思い、洋服のリメイク等のバイトをやったり、アパレル学校に行ったりするなど、色々チャレンジしていたことがあります。けれどどうも、図形とか数に関する脳の働きが弱いのか、どんなに気を付けても何かを忘れたり間違えたりしてしまう。バイトはどれもすぐ首になり、学校はストレスで体調不良になり3か月で中退してしまいました。そうした経験が積み重なって、モノづくりに関して劣等感を持つようになっていました。子どもの頃は絵や工作が得意で、その流れでクリエイティブな世界に携わりたいと思っていたのに、やってみたらまるでできない。求められるのは美的センスとか職人的な器用さよりまずは作業の正確性で、自分の特質が生かされない。
 このトラウマがいまだに残っていたせいか、改修作業をやっていてもパニックになりかかったことがありました。測ったつもりなのにまた間違えた…なんて自分はバカなんだろう…

(「普通の人はそういうふうにならない」「みんなあなたのこと様子がおかしいって言っている。心の病だって言ってるよ」「私は心の病ではなく発達障害があるんです」…かつて色々な職場で交わされた会話が脳内で蘇りかける。子どもの頃から、まわりが当たり前にできることがなぜかできない。勉強とか音楽はできるのに、手順や場所を覚えたり人の言ったことを忘れず遂行したりすることが壊滅的に苦手なのだ。普通にしてるつもりなのに、そこにいるだけで、息してるだけで、存在の仕方がおかしいと決めつけられて排除される。新しい職場に来ると、普通の人が言いそうなことやりそうなことをマネしてボロが出ないよう120%必死にがんばる。でもやっぱりたいてい3日以内にどこかでバレる。「あなたは普通じゃない。ここで働いてもらうわけにいかない。」はいきた、死刑宣告だ。やつらは宇宙人を捕まえるゲシュタポなんだ。普通ってなんだよ。これは社会のイジメだ。お前ら全員死ね。いまに見てろ…)
 
 過去から照射してくるそんなダークフォースに取り込まれた私を、室田さんは明るく励まし続け、作業を根気強く指導してくださいました。これには頭が下がります。そのおかげで、たとえ得意な人が一発でできることができなくても、何度もチャレンジしてコツを習得すればきっとできる(できないこともあるが)ということ、できなかったからといって自分を責めたり卑屈になったりする必要はなく、心を落ち着けてひとつひとつクリアしていけばいいんだという姿勢を学ぶことができました。これが仕事だと、一度言われてできなければもう後がありません。クビが待っているだけです。「会社は学校じゃないから」これは仕事先で何度も聞いた言葉です。即戦力にならなければ、機会を与えられないのです。だから自分を責めてしまうし卑屈になる。
 その意味で、ビヨンドでの体験はとても貴重でした。「自分も作っていいんだ」「ここにいていいんだ、自分のできることをやればいいんだ」。チャレンジし続けていけば、すぐに仕事には結びつかないとしても、自分なりのニーズやタイミングにしたがって、モノを作ることと関われる。以前なら、使ったことのない工具は怖いし木工が得意な人に任せようという思考でしたが、今は、できるかできないかわからないけど、とにかくやってみよう。そんなポジティブな構えを身につけられました。一度は諦めたモノづくりの世界と新たに出会い直すことができた気がします。

 室田さんは、こうした作業や内観ワークショップ等を通じて、参加者が過去の失敗パターンから脱却し新たな一歩を踏み出すことを支援する事業をされています。私は個人的に、他人から上から目線で「こうしたらいい」「これだからいけない」といったことをアドバイスされることが好きでない(というかかえって「お前に何が分かる」的に反抗心が目覚め言うことを聞かない)のですが、今回は、いつも明るく朗らかな室田さんの伴走を得ながら作業を通じて自分で気づくことができたので、とてもよかったと思います。

 また、たくさんの人々と出会えたことも良かったです。ボランティアスタッフの方々とは、日々の作業や生活全般を通して親しみ、休憩時間などにゆるい感じで交流し、ときには哲学的な話とか、生活の話、悩みの話などもしました。差し入れを下さったり、音楽セッションに誘っていただいたり、色々とお世話になりました。また、家づくりワークショップの最後の打ち上げ会では参加者の人たちとも話す機会を得られて楽しかったです。別れ際に「また会いましょう!」と言い合って連絡先を交換する。全国に仲間がいる、心強いなと思いました。

 私は今、ビヨンド自然塾をはじめ、全国に続々とでき始めたコミュニティやエコビレッジを巡る旅をしています。どんな人たちが、何を考え、どう生きているのか。それをライブで知りたい。そして、その学びを糧として私自身も、同じ夢を持つ仲間たちと力を合わせて、すべての人が安全・安心に生きられる社会づくりに貢献したい。それが目標です。「普通」じゃない自分だからこそできる役割だと思っています。

 絶望から希望へ。楽しく美しい、未来の世界に向けて。