何もない?だからこそ可能性は無限なんだ

「え~、、お前の家、何もねえな、、」

康太はソラリスの家に遊びに来ていた。

「ん?」
ソラリスが不思議そうな顔をしている。

「いや、ゲームとかさ、、。普通なんかそういうのあるだろ?」

「いや、俺は持ってないや。」

「まじか、何して遊んでるんだよ?」

「外に遊びに行こう!」

ソラリスは康太を外に連れ出した。

「いや、マジで何もねえな、、」

そこは木や草が生い茂る森だった。

「いったい何すんだよ。こんなとこで、、、」

康太は不満そうだ。

ソラリスは何やら草の中を探っている。

「ほらカブトムシがいたよ!」

「あ、本当だ、本物だ!」

「あはは、本物に決まってるだろう?」

「確かにな。偽物なんかいたら逆に面白いよな!」

「でもよ、偽物の方が目にする機会が多いなんてちょっと変わってるよな」
そういうソラリスの言葉を聞き、笑っていた康太の顔つきが変わった。

「うーむ、、、」

「なぁ、なぁ、持ってみろよ。」
そう言いながらソラリスは康太の手の上にカブトムシを乗せた。

「うわー、痛てててて!」

カブトムシの足の先尖はっており、思いの外、力が強かったので康太は痛がった 。

「本当のカブトムシは痛いだろ?あはは。」

「次はクワガタ捕まえてカブトムシと戦わせようぜ」

「おいおいそんな簡単に捕まるわけねーだろ。」

「ふふふ、見てな。」

康太の予想に反して、たったの3分程でソラリスはクワガタを見つけてきた。

一通りカブトムシとクワガタを戦わせて遊んだ後、 ふたりは木登りをすることにした。

「おい、早く登ってこいよ!」

「よくそんなとこまで登れるな。危なくないか?」

するする登っていくソラリスを見ながら、康太はほんのちょっぴり登ったところで止まっている。

「お、鳥の巣発見!すごいすごい、ひなが3匹もいるぞ。」

「そんなとこまで登れねえよ。」

康太が登ってこれないことに気づくと、ソラリスは近くにある小枝やを使ツルを使い、器用に梯子を作成した。

「よくこんなの作れるな。」

感心しながら康太が登っている。

「うわー、これが鳥の巣か。初めて見たぜ!」
初めて見る鳥の巣を見て康太はすごく興奮している。

鳥の巣を康太に見せながら、ソラリスも嬉しそうに話している。

「これ、すごくないか?その辺にあるものでさ、手とかないのにさ、くちばしとかで作るんだろう?」

「そうだな」

「しかもさ、これたぶん誰からも習ってないよな。」

「うーむ、そうだなぁ、、」

「人間の場合はさー、周りがすごく優しく教えてくれるけどさ、それで逆に自分では考えなくなっちゃってる気がするんだよな 。」

ソラリスは普段から地球人に対して感じていたことを話した。

「遊ぶものと言ってもゲームとかさ、ルールとかやり方とかって最初から決まってるじゃない。あれだとあんまり自分で考えなくなっちゃうような気もするんだよな。」

「う~ん、なるほどな。」

康太も少し思案顔だ。

ソラリスは続けた。
「森の中で遊ぶなんていうのはさ、決め事なんて何もないから、むしろ遊び方は無限なんだよな。康太は何もないって言うけどさ^^」

「なぁ、次は何する?今度は康太、考えてみろよ。」

急に振られ、康太はやや困惑した。

「何するって言ってもなぁ、、、」

「なんでもいいんだよ。例えばここに枝が落っこっているじゃん?これを使って遊んでみようぜ。」

そう言いながらソラリスはいくつかの枝を拾い始めた。

細い枝、長い枝、短い枝、色々な枝がある。

「さてと、、」

何をするんだろう?と康太は黙って見ている。

ヒュン、ヒュン、ヒュン!

ソラリスはいきなり枝を降り始めた。

「これがこの枝ね。」
ビューン、ビューンン!
「これがこの枝。」

「ちょっと後ろを向いて。」

醤油とソラリスはまた枝をしゅんしゅん振り回した。

「さぁ、どっちの枝だったでしょうか?」

”何?音を当てるゲームだったのか?!”

「いや、う~ん、、、ちょっとわからないな。こっちかな?」

「はいブーブー、ハズレ!」

「なんだよ、次、俺やるよ。ソラリス後ろ向いて。」

気づくと二人はただの枝で15分以上も遊んでいた。

「じゃあさあ、次は枝を振る音じゃなくて、石を叩く音を当てるようにしよう!」

と言って康太は、大きい岩や小さい小石、色々な石を拾い始めた。

”あはは、やっぱり自分で遊びを見つけられるじゃん!”

ソラリスはにんまりとした。

「おい待てよ~、俺も石拾うよ!」

二人は日が暮れるまで外で遊んだ。
迎えにきた母親が運転してくれている車の中で、康太は楽しそうに話した。

「今日すごく面白かったよ!ソラリスの家、すごくいろんなものがいっぱいあるんだ!」

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