狩猟現場 ~仕留め~

早朝の電話呼び出し

早朝にGさんから電話がかかってきた。

「鹿がかかったぞ!」との連絡だ。

先日同行させて頂いた時には罠にはかかっていなかったので、今度罠にかかった際には是非呼んでくださいと頼んでおいたのだ。

その翌日、早速呼ばれることになった。
聞いた話では、ここ4日のうち、3日は罠にかかっていることになる。
結構頻繁にかかるもんだな。

それだけ猟師に対してシカの頭数が多いのだろう。

Gさんは自分が罠猟の免許を取る気でいることを非常に喜んでくれている。

「免許が取れれば一緒にできるじゃんけ!」

と顔を輝かせてくれた。

免許を取る気はあるものの、人には適性というものがあるだろう。
自分は猟師に適性はあるかなぁ。

それを知りたくて同行させていただいたのだ。

現場にて

現場に行くと、オスの鹿が仁王立ちしている。

Gさんは手製の槍と鉄バットを持って鹿に近づいた。

罠のワイヤーに足がつながられているとはいえ、数mの距離は鹿は動ける。
雄鹿なので立派な角も付いている。

危険が伴うので、様子を見ながら近づき、バットで頭を叩いた!

お爺さんが片手でバットで叩く、、、それくらいで仕留めることはできるのか?!

ちょっとビックリした。

見ていると、鹿の動ける範囲が大きかったことなどもあり、鉄バットで仕留めることは困難と判断。(時間がある場合にはバットと槍で仕留めるらしいのだが、今回は時間の都合上諦めた)

Gさんは猟銃の免許も持っている。
銃を持ち出し、鹿に対峙した。

覚悟を決めたのだろうか?鹿がまさに目の前で足を止めて立っている。

そこを狙い済ませて至近距離からズドン!

鹿は転がり落ちた、、、

あぁ、やはりこういうことなんだなぁ。

もちろん予期していた光景なのだが、やはり鹿さんのことを考えてしまったりする。

しかし、周囲を見渡すと、木の皮が沢山剥がれている。
鹿さんたちがお腹をすかせて食べたのかな。

鹿も増え過ぎたら自分自身が困るのだろうな。

どっかの田舎で鹿が増えすぎて山の木の皮を食べたら山が禿山になってしまい、鹿も生きていくことができなくなったような例を過去に聞いたことがある。

そんな事を思いながら、罠を外しているGさんの行動を見ていた。

罠から外した後には大仕事が残っている。

鹿をトラックに運びこむのだ。

二人いたからできたものの、お年寄り一人ではまず無理だろうな、、、。

Gさんは普段はウインチで引っ張っているらしい。
そういう装備がない人は協力者が見つけられないと難しいかも。

感想、想い

それにしても貴重な体験をさせてもらった。

擬似的に体験ができるように動画の撮影もしておいたのだが、ちょっとショッキングな内容でもあるので、興味がある方以外は見ないほうが良いだろう。

お肉を有りがたくいただくということ、、その有り難さをしみじみと知る良い機会だった。

柵で全面囲わずにも農作物を当たり前のように作れるような、環境を取り戻すのには狩猟は非常に有効だと思っている。

5~7年前位までは獣害なんて言うものはそれほど無かったらしいのだ。

「こんな体験できるなんて普通無いぞ!まだ会って3日だぞ!」

Gさんは嬉しそうに私に言った。
猟師は個性が強い人が多く、他人を連れて行ったり、やり方を教えたりはしないそうだ。
縄張り意識というのもあるらしい。

Gさん自身も癖が強いから一人でやっていると言っていた。
それが喜んで自分に教えてくれている。
そしてこうも言ってくれた、、

「免許が取れれば一緒にできるじゃんけ!」

前回の記事でも書いたが、受け入れてもらえるというのは本当に素晴らしいことだ!

今ならまだ狩猟文化の継承もできる。
里山を復活できる。

狩猟、林業、農業、建築、飲食の5つが助けあい、連携し合えば、素晴らしい街づくりになるだろう。

自分はそれを示したい。