ボランティアスタッフN.S.君の人生観 ~本当の幸せを求めて~

ビヨンドにボランティアに来てくれているN.S.君がインターンで来てくれていた聡子ちゃんの卒業論文作成のためのアンケートに答えた内容が素晴らしかったので紹介させてもらいます。

「本当の自分の気持ちに素直になる」

これは簡単なようでなかなかできない人は多いかもしれません。周りや常識に振り回されることが多いからです。N.S.君もそのへんで悩んだようですが、今では大分スッキリしています!
参照
別人のように変わったN.S.君!
N.S.君の登山中の気付き ~気づきはサプライズから~

ただ、聡子ちゃんにはそれほど深く伝わらなかったみたいです。まだ大学生ですからね、いろいろな人生経験を積んでいかないとなかなか理解するのは難しいでしょう。

20代は「とりあえず頑張る」、
30代で「これ以上頑張れない、、、何かおかしい、、、」となる人が増え、
40代で「このままでは先が見えてきた、、。なんとか違う方向に舵を取らないと!!」

こんな感じで自分探しのモチベーションは次第に上がるケースが多いです。実際、ビヨンド自然塾に話を聞きに来るのは30代後半から40代後半が多いですね。

目次

1.日々の暮らしはどんな暮らしですか。お金はどんな手に入れ方をされていますか。

今は山梨県北杜市に移住してきて、移住するときにお世話になった、ビヨンド自然塾の室田さんのところでボランティア活動をしている。ボランティア活動というと、かっこよく聞こえるが、実は自分はそんな意識はまったくなく、みんなで一緒に楽しく遊んでいるような感覚で日々を過ごしている

ビヨンドでの作業は、古民家の改修·田んぼでの米作り·畑での農作業·フィールド内の草刈りなどの整備·日曜日にやるイベントの事前準備など、ほかにもいろいろな作業があり、実に多岐にわたる。ビヨンドに訪れる人は、自分の今の暮らしを変えたいと思っていたり、今の日本の社会のあり方に疑問をもったり、自分とは何かを模索していたりする人が多い。
そういう人達と本心で語り合うことは、今までできなかったことで、とてもエキサイティングであり、その事は北杜市に移住してきてよかったと思える一番の要因だ。

現在はほとんどお金は手に入れられていない。以前働いていたときの貯金で生活している。今までに何回か、室田さんから謝礼というかたちでお金をもらったり、送迎で一回300~500円をもらったりしている。

ビヨンド自然塾が、国の事業の地域おこし協力隊の受け入れ先に登録されたので、それに応募しようと考えていたが、何か自分の中で違和感というか、あまりやる気がでないなと感じていた。そして、市役所の地域おこし協力隊の担当の方と話をして、これは自分がやることではなく、もっと他の熱意·意欲のある人がやるべきだと強く思った。

今、自分が考えているのは、週に3日くらい何かアルバイトをして、週に2日くらいビヨンド自然塾でボランティア活動をして、それで生活していけるのかを試してみたいということだ。

 

2.どうしてそのような生き方をされていますか。価値観や普段から大切にしていることはありますか。仕事やお金についての考え方を教えて下さい。

自分は仕事やお金をあまり重要視していない。自分の人生を幸せ·豊かにするための手段·道具にすぎないと思っている。仕事·お金があるから幸せ、ないから不幸せという考えだと、仕事·お金中心の考えになってしまい、本当の自分でいられないのではないかと思う。仕事·お金があろうがなかろうが、自分が幸せで楽しく元気で生きていることが大切だと思っている。

とはいえ、現在の社会を生きていくうえでお金は必要不可欠である。それにある程度持っていたほうが、心に余裕がでるような気がする。今現在、仕事を辞めて無収入だが、そんなにあわてずにいられるのも、ある程度の貯金があるからだと思う。

働いてお金が定期的に入ってきたときは、あまり考えずに使っていたが、収入がない今は限られているお金なので、大事に丁寧に使うことができている。お金は人間が作り出したものなので、将来その価値が変わったり、なくなったりするかもしれない。だから、それを自分の拠り所とはせず、自分の人生や他人の人生を豊か·便利にするためのものとして、気持ちよく使っていきたい。

仕事に関しては、現在の日本の社会はお金を得るのが目的になっていて、効率·成果·生産性などが重視され、他社·他人と競争を常にしていて、自分さえよければよいといった傾向があると思う。しかし、それではお金を得られても真の満足感は得られないと思う。

人々が必要としていて、自分ができることを無理なくやる。それで、人が喜んでくれて、自分が生活していけるだけのお金を得ることができたなら、とても幸せな毎日をおくることができると思う。

 

3.これまでを振り返って、そのような生き方をするようになったきっかけを教えて下さい

自分は小さい頃は、周りの反応を気にして、気をつかって周りに合わせて、自分を演じていた。中学生になると、完全な理想の自分を思い描くようになり、実際の自分を強く否定し、それは今から思えば異常なくらいのものだった。それは30歳近くまで続き、その間ずっと苦しい思いをし、「この思いが年をとって死ぬまで続くのか。この苦しい思いをするために自分は生まれてきたのだろうか」という考えが常に自分の中にあった。

29歳のときにある体験をして、それからしばらく、言葉で表すのが難しい夢のような日々を過ごした後、だんだん自分を取り戻していって、気がついたらその苦しい思いは自然に消えていた。その後は、本来の自分に戻ったみたいで、以前の自分もここに至るために必要であったのだと、すべてを受け入れることができた。お金や肩書きなどに執着がなくなり、誰の言うことも気にならず、ただ自分がやりたいことをやり、自分が自分でいられるだけで毎日幸せな気分でいることができた。

その後、会社で働くようになると、周囲の価値観と合わず、「なぜ、みんなほんとうの幸せを追い求めないのだろう」という気持ちが起こり、孤独と絶望感に苛まれ、徐々に心と体を壊していった。「このままみんなと合わせれば楽になれるのに」という思いになったりもしたが、自分にはどうしてもそれができなかった。そんな状態で何年も過ぎ、もうすでに自分の心は折れていた。その心の折れた状態で「誰かに助けてもらいたい」と思いながらも、自分の考えを共有できる人が周りにはおらず、自分一人で何とかするしかないという思いに至った。

心は折れていた。体もボロボロだった。現実から目を逸らすために、お酒を飲んだり食べ物をいっぱい食べたりした。夜も寝られず、体はいつもだるい状態だった。いつしか気力もなくなり、何かをしたいという気も起こらなくなり、家に帰るといつもぐったりしていた。それでも何とか日々の仕事をこなしていたが、それで精一杯で他のことを考えることができなかった。そんな状態が何年か続き、「自分の場所はここではなく、もっと他に自分にふさわしい場所があるはずだ」と思いながらも、「そんな場所などないのかもしれない」という弱気な気持ちになったりして、空虚に日々は過ぎていった。

そんなある日、偶然ネットで室田さんの文章を見つけて読むことができた。それはたいへんおもしろく、他の文章も次から次へと読んでしまった。その室田さんはビヨンド自然塾をやっていて、そのホームページを見て「自分と同じ考えの人がいる!」と驚きと興奮が入り交じった気持ちになった

ビヨンド自然塾では田舎暮らし体験や移住相談もやっており、それを利用すれば、直接室田さんに会うことができ、自分の道も開けるのではないかと思った。気力がでてきて、直感的に自分は仕事を辞めて、北杜市に移住することになるだろうという思いになった。その直感は現実になり、今現在、仕事を辞めて北杜市に移住して、ビヨンド自然塾で室田さんと一緒に活動している

 

4.ご自身の生き方と、日本で「普通」とされている生き方はどう違うと思われますか。この国の「普通」とされている生き方について、何か違和感を感じることはありますか?

小さいときから周りと比べられ、学校に入れば成績がよいものがよいとされ、学校にランク付けがされており、上のランクの学校に入ってるものがすごいとされる。社会に出てもそれは変わらず、むしろ社会に出てからのほうがそれは激しいだろう。

お金をたくさん持っていたり、肩書きがすごい人がすばらしい人とされ、皆そのために異常な競争を繰り広げており、自分さえよければよいとされ、自分や他人を勝ち組·負け組などといった、謎の分類で分けたがり、テレビや新聞などのニュースが正しいとされ、皆と同じように働いて、結婚して、子どもを生んで育てて、年老いて長生きして死んでいくのが幸せだとされていると思う。

自分は長い間、この考えに違和感を持っていた。そして、このまま周りに流されて生きていたら、死ぬときに後悔するのではないか。自分にとってほんとうの幸せがあるのではないかとそれを探し求めた

幸い自分はそれを見つける事ができた。それは言葉にしづらい感覚的なものであった。ほんとうに生まれてきてよかったと思えた。今はそのときの感覚はだいぶ忘れかけているが、自分の基本となる部分は、これからも失われることはないだろう

人は本来、自由なはずである。自分が生きたいように生きていいのである。親や配偶者·兄弟などの家族や親しい人でも、それに口を挟む権利などないと自分は思う。ましてや国家や社会などといった、その存在があやふやなものならなおさらである。

ほんとうに自分が生きたいように生きて、幸せな気持ちで満たされていたら、人を抑圧·支配したい、人を自分の思い通りに変えたい、人を殺したいなどとは思わないのではないか。他者と比べることをせず、各自一人一人が自分の幸せを追い求める。そうすれば今よりもっとすばらしい社会になるのではないかと思う。

 

5.将来やりたい事や夢は何ですか。なぜそれをやりたいのですか。

将来やりたい事や夢はない。自分は将来や未来の事はあまり考えない。今日一日の事や近くの出来事くらいしか考えないようにしている。自分は今を精一杯生きたいし、大事にしたい。今日一日を楽しく笑って幸せに生きたい。それが毎日続くならこの上なく幸せである。自分にとって普通の日常こそ、一番大切である。

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