『背景』

海の真ん中にボートで流され

ボートに水が入ってくると

慌てて水を掻き出すかもしれない

掻いても掻いても

水はどんどん入ってくる

掻くのに夢中で

ボートの底に穴が開いている可能性をも見失う

穴を塞がずに

水をいかに早く掻き出すかに集中する

ボートの形が複雑になればなるほど

ボートの大きさが大きくなればなるほど

穴の存在には気づきにくくなる

『背景』の存在に気づかなくなるんだ